極上の焼き芋の焼き方(46)

紅はるかのブランド(その1:茨城県編)

焼き芋を作るときに、焼く前に次の2点が、問題になります。

  • 品質の良いサツマイモをどこで仕入れるか

  • 仕入れたサツマイモの保存方法

このうち、保存方法は新聞紙にくるんで、温度13°Cくらいの室内に置いておきます。これで決まりです。

問題は仕入れ先です。考えられる方法は次です。

  1. サツマイモの箱(生産組合、JA)、袋(JA,特別栽培など)で判断する。

  2. 地元野菜のコーナーで生産者の名前で判断する。

  3. 品質がそろっていると思われるブランド(登録商標)のサツマイモを使う。

結論からすると、1.はダメです。品質のばらつきが大きすぎます。2.は、良い生産者のサツマイモが入手できれば、コストパーフォーマンスは最高です。しかし、生産量に限りがあります。

ということで、今までは、2.だったのですが、最近は、3.に移行しています。

紅はるかの登録商標には次があります。

紅天使(ポテトかいつか)、紅優甘(JAなめがたしおさい)、いもジェンヌ( JA新潟みらい)、甘太くん(JAおおいた)

今回は、茨城県内のブランドである「紅天使」と「紅優甘(べにゆうか)」についてレビューしておきます。

 

紅天使(ポテトかいつか)

HPを引用します。


ポテトかいつかは、茨城県かすみがうら市にあるさつまいも専門の会社です。昭和42年創業、さつまいも卸売問屋として主に焼き芋販売業者向けに営業を開始し、さつまいものプロの厳しい要求に応えるために、厳選したさつまいもを供給してきました。現在では、茨城県鉾田市を中心とした鹿行地域など約400件の農家に仕入れが広がり、年間約19,000tのさつまいもを取り扱い国内から国外まで販売を広げています。主に量販店向けに、オリジナルブランド芋:紅天使を焼き芋用原料として販売を行っております。平成24年からは、直営販売事業も立ち上げ、焼き芋専門店として店舗事業、通信販売事業もはじめました。


2020年2月28日にポテトかいつかはカルビーに買収され、現在は、カルビーの子会社になっています。

実店舗は4店あり、本店は、2020年8月に移転しています。

主力商品は、紅天使(紅はるかのブランド)ですが、最近は、夢ひらく(シルクスイートのブランド)も出しています。ポテトかいつかは、夢ひらくの糖度と柔らかさは、紅天使と同等であるとしています。つまり、優劣は付けられないとう意味です。

  • 紅天使は、生芋、焼き芋、冷凍焼き芋で出荷しています。

なお、冷凍焼き芋を購入したところ、食感は羊羹系のしっとりでしたので、焼き芋とは食感が少し異なる可能性があります。焼き芋は購入していませんが、写真を見る限り、羊羹焼き芋ではありません。HPには「厳選したさつまいもを、その時の気温、湿度、さつまいもの状態に合わせ最も美味しい状態に焼き具合を調整。 」と書かれています。冷凍焼き芋では微調整していると思われます。というのは、微調整しないと羊羹焼き芋は出来ないからです。一方、スーパーで売っている焼き芋はほくほくやまという焼き芋機器で調理していますので、冷凍程は微調整していないはずです。スーパーで焼く場合には、主な調整は加熱ではなく、サツマイモをそろえることに費やされていると思われます。いずれにしても、同じ条件のサツマイモをそろえて焼くことは、家庭ではできない利点です。

HPの情報量はそれなりにありますが、細かな管理方法などは記載されていません、糖度も最大で40度とか、50度という記載があるので、測定していると思われますが、出荷にあたって、どのレベルの糖度管理をしているかは不明です。サツマイモの場合には、マスクメロンやリンゴのように、1個の単価が高く、形状がばらつかない訳ではないので、全数調査は難しいと思われます。おそらく、ロットでの糖度管理をして出荷していると思われますが、全数調査ではないので、糖度の記載がないと判断しています。

関連情報は以下です。

  • 保存法

さつまいもは寒さに弱いので、冷蔵庫には入れないこと。 新聞紙に包んで、日の当たらない場所に置いておきます。 暑すぎても寒すぎても痛んでしまいます。

  • 焼き芋の焼き方(袋に記載の方法)

さつまいもをそのままオーブントースターに入れ、途中1から2回ほど裏返しながら50から60分焼く。洗った後しっかり乾かしてから焼くと、更に美味しく召し上がれます。お使いの調理機器やサツマイモの個体差によって異なりますので、竹串を刺して中まですっと通るくらいを目安に、柔らかさを確認しながら加熱してください。

 

紅優甘(JAなめがたしおさい)

JAなめがたしおさいは、焼き芋でいくつかのコンクールで入賞しています。

HPには、情報がほとんどのっていません。HPで得られるのは、焼き芋の購入方法だけで、生芋の情報はありません。「焼き芋の話」のパンフレットがほとんど唯一の情報です。この辺りが、ポテトかいつかの民間企業とJAの差と思います。

このパンフレットにのっている焼き芋器での加熱方法は既に紹介しました。パンフレットから得られるその他の情報は以下です。

焼き方は石焼き芋系で、羊羹焼き芋は考えていないようです。糖度管理については、まったく書かれていません。マニュアルに載っている焼き芋器は温度管理ができないので、加熱時間で調整しているようです。

他の焼き芋のHPでもそうですが、最大の疑問は、焼き方の「焼きいもは、アミラーゼという酵素が作用する70°C程度の温度を長時間維持することでおいしくなります。オーブンを200~250°Cにし、20~30分加熱すれば焼き上がります。」という部分です。オーブンを70度に設定して焼けば、アミラーゼが機能して、美味しく焼けるのであればわかりますが、200~250°Cが良い温度であるわけがわかりません。


キュアリング処理

農家が掘り取った芋を温度32°C・湿度90%以上の部屋で4日間寝かせることで、芋表皮下のコルク層を増加させ、貯蔵中の腐敗を防ぎます。

定温貯蔵

キュアリング処理した芋でも、温度・湿度の変化には弱く、特に低温では腐敗、高温では萌芽や発根、亀裂が生じ、品質が低下します。JAなめがたでは、キュアリング処理した芋を温度13°C、湿度90%以上の定温・定湿度の最適な状態で貯蔵しています。

新芋では出せない味

8月までの焼き芋は貯蔵芋が新芋より優れます。①焼き芋特性が優れます。貯蔵芋は新芋に比べて焼き上がり時間が早く、また、焼き上がりを触感で容易に確認できます。②食味が優れます。貯蔵芋は、焼き上がり直後と冷めた後の食味がともに優れますが、新芋は、高系系統は食味が劣り、「紅こがね」は焼き上がり直後は食味が良いものの、冷めた後は硬くなってしまうため極端に食味が低下します。③長期間貯蔵することで糖化(デンプンが主にショ糖に変わる)が進み、糖度が増して非常に甘くなります。

焼き芋

焼きいもは、アミラーゼという酵素が作用する70°C程度の温度を長時間維持することでおいしくなります。

オーブンを200~250°Cにし、20~30分加熱すれば焼き上がります。


比較

筆者はつくば市に住んでいますので、4つのブランドサツマイモのうち、入手しやすいのはこの2ブランドになります。

羊羹焼き芋を作る目的で、この2ブランドの紅はるかを同じ条件で加熱したところでは、今のところ2サンプルですが、紅天使のほうが紅優甘より甘くなりました。

これは、出荷に伴う糖度管理で、紅優甘のほうのばらつきが大きいためではないかと考えています。

 

  • ポテトかいつか

http://www.potetokaitsuka.co.jp/

https://www.kuradashi-yakiimo.com/shop/default.aspx

《お知らせ》※2020年8月17日 更新

かすみがうら本店は8月8日に店舗を移転しました! 新住所⇒かすみがうら市大和田字地蔵前517 かすみがうら市役所霞ヶ浦庁舎前です。

さつまいも豆知識

http://www.potetokaitsuka.co.jp/know/index.html

  • カルビーがさつまいも市場に参入、茨城・ポテトかいつか社を完全子会社化 冷食日報 2020年3月4日付

https://www.ssnp.co.jp/news/frozen/2020/03/2020-0304-1124-14.html

 

  • 焼き芋の話 JAなめかた

https://ja-ns.or.jp/pdf/yakiimo.pdf

https://www.ibarakiguide.jp/seasons/hoshiimo/ja-namegata.html