図2に見るように、北海道の感染者数が拡大しています。北海道以外でも、岡山と宮城は要注意になっていると思われます。日本も欧米のように、感染拡大の第3波にいこうしつつあるのでしょうか。図2には、東京都の場合と同じように、Google Transit(列車のデータ)を記載してあります。ただし、東京の場合には、自家用車での通勤はまれですが、北海道の場合には、自動車の利用がより多いと思われますので、Google Transitデータには、東京都程の代表値の精度はないと思われます。それでも、10月12日頃の感染者数の波形には、Google Transitデータとの対応が見られます。
第2波が明確になったスペインでは、緊急事態宣言を半年以上続けるようです。また、イギリスでは、イギリス版Go To Eat(Eat Out to Help Out)によって感染者数が、 8 から 17%増えたという分析結果がでています。
こうした、分析は他人事ではなく、本来、Go Toトラベル、Go Toイートをする場合には、販売促進のための補助金の配分だけではなく、モニタリングシステムもセットで、施策を実施し、モニタリング結果をみながら、緩和の程度を調整することが基本です。これは、入院して手術を受ける場合に、副作用のある投薬の量の調整などで広く使われている手法です。今回は、なぜか、モニタリングシステムの話は聞こえてきませんでした。
Go Toトラベルのモニタリングシステムはわからないのですが、Go Toトラベルで何が起こるかのイメージ図を図1に作ってみました。図1の左側の図は空間の密度のヒストグラムです。例えば1辺100mのグリッドの中にいる人の数を密度と定義して、密度毎のヒストグラムを描けば、緑色の線のように、多くは低密度で、ごく一部が高密度になるはずです。ここでは、Go Toトラベルを実施すれば、一番密度の低い方のグリッドの数が減って、一番高い密度のグリッドの数が増えるはずです。つまり、赤い線のようなヒストグラムに変化するはずです。
図1の右の図は、左と同じヒストグラム区分での、感染者率を表しています。つまり、ヒストグラムの横軸の位置による感染者がいるリスクの違いはわかりませんので、簡単に考えれば、緑色の水平線(どこでも同じ)になります。Go Toトラベルで、感染者が流入すると、緑の水平線が赤い水平線になると思われます。
感染者が発生する条件は、「密度が高い(=左のヒストグラムの右に近い)」x「グリッド内に感染者がいる(右のグラフの確率)」の2つが当てはまる場合です。
これから、平均値の議論は意味がないことがわかります。また、以上では、イメージしやすいように、100㎜グリッドで説明しましたが、ウィルスはそんなに遠くまで飛ばないので、3mとか、30mとかのより小さいグリッドでよいのかもしれません。エンジニアリングの世界では、通常、スケールの違いは、解決策の違いにつながります。この点も、コロナ対策ではよくわからないです。建物や大きな部屋のスケールで、クラスターが発生する場合は、工学の常識では、マスクなどの小さなスケールの効果はないのが普通です。なぜなら、マスクスケールの問題であれば、マスクを着けている人とマスクを着けていない人は別のクラスターになるはずだからです。また、感染者やクラスター空間に暴露する時間スケールも同様に重要です。なぜか、こうした点がよくわかっていません。
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道内の最新感染動向
https://stopcovid19.hokkaido.dev/
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イギリス版Go To Eat、コロナ流行拡大の原因だったー英調査結果ニューズウィーク 2020年11月2日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/go-to-eat-1.php
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‘Eat Out to Help Out’ scheme drove new COVID-19 infections up by between 8 and 17%, new research finds. Friday 30 Oct 2020
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スペイン、2週間で予定の緊急事態宣言を来年5月まで延長 ニューズウィーク 2020年10月30日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/25-38.php
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Google Mobile Report
https://www.google.com/covid19/mobility/ Accessed: <2020.11.06>11-3version.