黒コショウの選び方

「さしすせそ」といわれる、砂糖、塩、酢、醤油、味噌を除けば、コショウとニンニクが最もよく使われる調味料です。コショウには、黒、白、緑、ピンクがありますが、ピンクは別の種の植物です。日本料理と中華料理には白コショウをつかいますが、西洋料理は黒コショウです。趣味で、時々作る料理は西洋料理かエスニックになるので、黒コショウか、緑コショウを使います。今回は、黒コショウについて述べます。

You tubeで、英語版の西洋料理の作り方を見ていると、コショウは、ミルで、その場で、挽いて使うことが、お約束になっています。挽いてから時間がたつと香りが落ちるのでよくないということが定説になっています。

ミル付きのコショウもスーパーで売っていますが、ミルが小さいものが多く、皿の上にコショウをかける場合には、問題がありませんが、鍋に入れる場合には使いにくいです。海外のスーパーでミル付きコショウを見ると、種類が多く、また、ミルのサイズも大きいものがあって、鍋で使うのにも適しています。最近は、ユウキ食品がマコーマックの中型ミルの商品を提携して国内でうっていて「MC T&Tミルブラックペパー」という名称で販売しているので、スーパーに置いてあれば、ミル付きならば、これが使いやすいとおもいます。

更に、コショウの場合には、産地や品質のばらつきが非常に大きいと思います。また、黒コショウは、かなり、辛みもあるので、賞味期限内に、使い切ることは少ないと思います。ですから、多少高くても香の良いものを選ぶべきです。なお、他のスパイスでも、産地や品質のばらつきはありますが、その差は小さく、気にならなければ、無視できるレベルと思います。

ミルを別に用意して、粒(ホール)コショウを購入することがベストですが、粒コショウはスーパーではあまり人気がなく、種類が限られます。ネットで見ると「マスコット ライプペッパー 完熟胡椒」が、非常に評価が高かったようですが、現在は、販売していないようです。SB食品が扱っているフーシェ(FOUCHER)の黒コショウ(粒)の詰め替え袋入りがあれば、これがお勧めです。瓶入りもありますが、袋入りで十分と思います。フーシェ(FOUCHER)の黒コショウは産地表示があり、しかも、時々、産地が入れ替わります。

スーパーで見たことがなかったので気づかなかったのですが、フーシェ(FOUCHER)にはミル付き黒コショウもあるようです。ミル付きがお好みであれば、マコーミックよりは、こちらを推奨します。また、最近、フーシェ(FOUCHER)では、カンボジア産の完熟胡椒を売っていることにも気づきました。これは、使ったことがないですが、価格からすると、幻の「マスコット ライプペッパー 完熟胡椒」の代わりになりそうです。

フーシェ(FOUCHER)の黒コショウは、SB食品が取り扱っているので、スーパーで簡単に手に入ります。ただし、粒は少なく、挽いてあるものが主流です。この場合、ミル挽きに相当するサイズは粗挽きになります。You tubeを見ると、挽いてあるコショウを使うなどもっての他になるのですが、実際につかってみると、十分香りが良いです。国内のスーパーのスパイスは、SB食品とハウス食品のシェアが高いですが、この2社ブランドのミル付き黒コショウでは、歯が立ちません。特に、SB食品は、フーシェ(FOUCHER)のスパイスを販売しているので、釈然としないものを感じます。同じ粗挽き黒コショウで比べると、SB食品ブランドが15gで165円(11円/g)、フーシェブランドがインド産25g325円(13円/g)、マレーシア産27g325円(12円/g)、インド産80g480円(6円/g)、マレーシア産100g480円(4.8円/g)です。SBブランドは小瓶のメリットはありますが、単価はほとんど変わらないか、缶入りと比べると、2倍の値段になっています。

これはスパイスに限りませんが、1990年代までの日本製品は、品質はほどほど(コモディティ)だが、価格が安いという戦略で販売していました。しかし、人件費があがるとこの方式では、利益が出なくなります。なので、1990年代以降は、掛け声では、コモディティを脱して、高品質、高価格でないと、人件費の安い途上国に勝てなくなるといわれていました。しかし、家電に見るように、実際には、切り替えできずに、撤退した分野が目白押しです。一方では、コモディティを抜け出せずに、非正規社員を増やして、その結果、労働者の平均年収は減少し続けています。最低労働賃金をあげるべきだという人もいますが、産業構造を変えずに、最低労働賃金をあげれば、韓国のように行き詰ることは目に見えています。スパイスを見る限り、食品産業も安泰とは言えないと思いました。