風景写真の遠近法の研究(3)

波の発見

今回は、ミニマリズムとも解釈できる波について述べます。

写真1は京の庭です。庭は、庭自体が遠近感を実際より大きく見せるように設計されています。それを更に写真で撮るということは、再帰的な行為になります。ともあれ、その点には深入りしないでおきます。写真1で目につくデザインは波の模様です。これが目につく理由は、パターンの繰り返しになっているためですが、一方では、波の大きさの見え方の変化で遠近感がでています。この模様はミニマリズムの視点からみるとたいした発明です。

写真2では、白長が目につき、パターンを構成しています。後方の白鳥が若干小さく見えるので、弱い遠近感が生じています。まあ、あまりに白鳥が目立つので、後方の柵の遠近効果はほぼなくなってしまいます。

写真3は柵の遠近感があり、更に、白鳥が並んでいて、見えるサイズが変化しているため、白鳥だけでも遠近感があります。更に、波が手前から奥に、小さくなっていくとともに、彩度が落ちています。つまり、写真3には遠近感を醸し出す要素が3つあって、大きな効果を生んでいます。同じ池を写した、写真2と3でも空間の広がりが大きく異なります。

写真4は、構図の上での遠近感がありません、写真全体が、パターン化しています。にもかかわらず、遠近感のないべったりした写真にはみえません。その理由は、波のパターンの変化とグラデーションにあると思います。京の庭の手法は強力で、かなり使えることがわかります。

 

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写真1 京の庭

 

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写真2 白鳥の家

 

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写真3 白鳥の家

 

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写真4 白鳥の家