技術競争から脱落する日本企業

日本の技術力に黄色信号がついています。

東芝のシステムLSIから撤退を決めました。競争の激しい分野で、勝ち負けをかけてチャレンジする企業が減ってきています。

国は研究助成金を拡充していますが、効果はないでしょう。

それには、次の点があります。

  • 1件当たりの金額が小さい

  • 成果の分からないものには割り当てられない

  • 手続きが煩雑で、専門の部署がある企業以外は応募しない方がよい

簡単に、言えば、競争的資金は、芽が出ているものを促進するためには、使えますが、芽が出るか否かわからないものには出せません。

チャレンジングな技術が成功するか否かはおおよそ次の2点にかかわっています。

  • チャレンジングな技術開発をしたと考えている能力のある人またはチーム

  • チャレンジングな技術開発を支援する経営者

これは、ある意味で、大航海時代の船乗りに似ています。

大企業で業績評価を重視するようになると、ハイリスクの革新的な技術にチャレンジするリスクをとるよりも、改良型の技術改良に重点が移ります。こうして、何年かして、革新的な技術が出てくると競争に勝てなくなり撤退することになります。

このブログでは、写真の編集を扱っていますが、老舗のカメラメーカーをみると次の傾向が顕著です。

自動焦点の技術は進歩していますが、完全に改良型で進歩の差は小さいです。しかも、その小さい差を、上位機種、中級機種、入門機種で区別しています。ICですから、製造コストには差はないので、全てのカメラに最新のアルゴリズムを提供できるはずです。実際に、スマホは、そうなっています。

ソフトウェアを真面目に作っていません。ソフトウェアメーカーであれば、カメラの現像ソフトもスマホの現像ソフトも同じです。カメラがうれなくなれば、スマホのソフトで稼いでもいいはずです。結局、殻にこもって新しいビジネスを展開していません。

技術競争の問題はこのように過去の具体例を見れば、問題の所在はわかると思います。

最大のリソースは人なので、結局は、技術者と経営者の資質の問題と思われます。

過去のソニーのようにこの2者がタッグを組めば最強ですが、そうしたことは容易に起こることではありません。