第1は行政が持っているデータは個人情報と軍事等の機密情報を除けば、全て公開する必要があります。データが行政によって独占されている場合には、行政以外は施策の評価や立案ができません。今回のコロナウィルスでも、データは、殆ど公開されていません(注1)。これは、デジタルデータで、データベースに変換できるデータでなければなりません。米国のデータはインターネットで公開されているものも多いのですが、その中には、米国民しか見ることができないとして海外からのアクセスを制限しているものもあります。日本国内では、こうしたデータに出会ったことはありませんので、公開のレベルの差は歴然としています。
第2に政策はバックデータを示したレポートに基づいて行うべきで、こうしたレポートが公開される必要があります。国会の大きな仕事は、シンクタンクを使って、政策レポートを作成して公開し、議論することです。テレビに1秒でも長くうつるために、非難合戦のような国会討議をすることはナンセンスです。米国では重要法案作成の前に、シンクタンクにより政策レポートが作成され、レポートの分析について、更に、反論のレポート等が作成され、議論が煮詰まった段階で法案作成になります。日本の法案は思いつきのようなものが多く、法案が有効であると考えられるバックデータは全くありません。現在のトランプ大統領が、非難されている理由の一つが、こうした手順を無視している点にあります。簡単にいえば、思いつきの政策を乱発しているわけです。しかし、日本の政策も、同じレベルなので、あまり非難できないと思います。現在は、まともな政策レポート自体が存在しないので、公開以前ですが、政策レポート作成と公開がキーになります。行政が政策レポートを作成して、施策を決めるのであれば、国会は空っぽになって、縦割りはなくなりません。
以上はモンテスキューの趣旨です。日本は、三権分立ですが、憲法では、国権の最高機関は国会になっています。これは、言い換えれば、何をすべきか決めるとことろが一番重要であるということです。
注1:ここでの表現は、行政はデジタルデータを持ってはいるが、公開していないという前提です。もう一つの可能性として、デジタルデータそのものを持っていない場合があります。つまり、IT化の遅れです。この場合には、施策が、データに基づかない山勘で行われていることになります。コロナウイルスの施策をみているとファックスの話が出てきてその可能性を否定できないと感じられます。