補足(5)モノクロ写真をためす
筆者のデジタルカメラのモノクロ写真の理解は以下です。
フイルム時代のモノクロ写真は、色がついていないだけではなく、フィルムのダイナミックレンジが違いました。デジタルカメラの場合には、モノクロ写真だからといってセンサーを変えるわけではありません。べイヤー配列のセンサーの場合には、緑がダブルで、RGBGの4つのセンサーで1画素を形成するのであれば、ダイナミックレンジは理論上は拡がります。昔のデジカメ(Nikon P310など)には、白黒モードがついていて、カラーより高感度であった機種もあります。しかし、最近のデジカメではモノクロは色の1つとして扱われています。簡単にいえば、セピアとモノクロの差がないことになります。この方法では、RGBの混色に注意して、モノクロを作り出していると思われます。そうすると、カラーとモノクロで、ダイナミックレンジの差はないことになります。ただし、カラーに比べれば、中間トーンは細かく出すことが可能です。なお、印刷についてもこの点は同じになると思われます。
以上です。darktableのモノクロも、RGBのデータからモノクロに変換する方法が課題になります。
以下に、モジュールごとに説明します。
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チャンネルミキサー
RGBのチャンネルを混ぜてモノクロにする場合の各チャンネルの強さを指定します。カラーセンサーからモノクロ画像をつくる手順を定義しますので、細かな設定が可能です。
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カラーゾーン
モノクロ専用のモジュールではありませんが、プリセットをつかうと、簡単にモノクロ画像が作れます。このモジュールには、RGB色空間を使っている処理とLab色空間を使っている処理があります。プリセットがどちらに相当するかわかりませんが、リスクを冒してまで使うメリットはないと思われます。
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画像を見ながら、モノクロ画像を作るモジュールです。このモジュールはLab色空間で作動するため、シーン参照ワークフローでは使うべきではありません。
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lut 3D
モノクロフィルムのパラメータを使うことで、モノクロ画像が作れます。
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スタイルファイル
モノクロフィルムのスタイルファイルを使うことで、モノクロ画像が作れます。スタイルファイルでは、ベースカーブ、または、トーンカーブが使われていることが多いので、シーン参照ワークフローではお勧めできません。もちろん、スタイルファイルにはどのモジュールも登録できますので、RGB色空間のモジュールだけを使ったスタイルもあります。たとえば、チェンネルミキサーでモノクロを作成するスタイルであれば、問題はありませんが、実際にはそのようなスタイルはまれです。
まとめると、モノクロ処理には、チャンネルミキサーまたは、lut 3Dモジュールをつかうべきです。
なお、シーン参照ワークフローで、Lab色空間のモジュールが動作しないわけではありません。Lab色空間のモジュールは画像劣化が大きいので、使うべきではないということです。
以下では、サンプルをつかって、実際に変換してみます。
表1にチャンネルミキサーのパラメータの例をマニュアルから抽出しています。
写真1がもとのサンプルです。
写真2はチャンネルミキサーのKodak T-Max 100を使ってモノクロを作成しています。
写真3はチャンネルミキサーのAGFA 200X を使ってモノクロを作成しています。
写真4はlut 3DのFujifilm Neopan Acros 100を使ってモノクロを作成しています。
写真5は lut 3Dの kodak T-Max 100 を使ってモノクロを作成しています。
lut 3Dはパラメータで大きくトーンが異なりますが、チャンネルミキサーの差は微妙です。
表1 チャンネルミキサーのパラメータの例
Film Type | Red | Green | Blue |
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Kodak T-Max 100 | 0.24 | 0.37 | 0.39 |
AGFA 200X | 0.18 | 0.41 | 0.41 |
Generic B/W | 0.24 | 0.68 | 0.08 |