ニケ像を探して（フランス）～つくば市とその周辺の風景写真案内（１５２）

ニケ像を探して（フランス）

9月になりました。学校の写真が続いて、ちょっとつまらなくなったので、趣向を変えて、幅広く色々な写真にチャレンジしたいと思います。

写真１はルーブル美術館の名品・サモトラケのニケです。サモトラケは発掘された場所がサモトラケ島（現在のサモトラキ島）であることからきています。ニケは勝利の女神の名前です。写真は筆者が撮影したものです。ルーブル博物館の中は撮影ができます。

wikiwandによれば、ニケ像は「世界中に、ほとんど無数ともいえるほどのレプリカやコピーや模倣品がある。」そうです。

その理由は次と思われます。

第1に、彫像の場合には、ブロンズ像（原型は粘土や石膏）のように、型をつくれば、コピーが簡単にでき、コピーは、石像の場合には、レプリカと呼ばれますが、ブロンズ像の場合には、全てが本物になります。ですから、絵画に比べて、「レプリカ＝偽物」という意識はなく、型のデータが入手できれば、コピーが多数作れます。

第2に、ニケの場合には成立過程が複雑で、かなり頑張って復元しています。たとえば、右の翼は無いので、左の翼を逆にして型を取って使っています。ですから、ニケ像は、「オリジナル＋復元」の作品ともいえます。

写真２は、筆者がフランスのモンペリエ市で撮影したニケ像です。足元の船の部分はコピーされていませんが、野外でニケ像をみることができる点では、博物館の中とは別の楽しみがあります。

wikiwandには、日本国内にあるレプリカのリストが載っています。この中には、筑波大学にもあると書かれています。調べてみると、「筑波大学の体育・芸術エリアにある大石膏室」あるようなので、石膏像と思われます。

写真３に、見出しは作りましたが、今のところ撮影の予定はありません。石膏室で、石膏像を撮影しても楽しいとは思われません。なお、石膏像は白いので、撮影は難しいと思います。

モンペリエ市の都市計画とルーブルの名品

最後にモンペリエ市の名誉のために付け加えますが、モンペリエ市は、このニケ像だけでなく、市の中心部に、ルーブルの彫像のレプリカを多数配置しています。これらの像は、よく知られているので、ランドマークになります。ですから、美術品の彫像が、都市計画の一部になっています。

つくば市の場合には、ノーベル賞受賞者の像（中央公園）、フクロウの像（中央公園）、政治家の像（松見公園）、ガマの像（桜地区）などがありますが、統一感はありません。それに、美術品のレベルでいえば、モンペリエ市にあるルーブルの名品にはまったく歯が立ちません。

モンペリエ市は、モンペリエ大学の所在地として、中世からの学園都市ですので、つくば市に似ています。つくば市にモンペリエ市の古典彫刻を野外展示する手法を導入するのであれば、縄文、弥生、奈良、平安の彫刻のレプリカが公園に野外展示されていることになると思われます。もちろん、宗教的な色彩の強い彫刻では、調整が必要と思われますが、ニケ像も勝利の女神で、宗教性を持っています。