今回から、色飽和の解消法について、考えます。
今回は、露光と色飽和の関係を整理しておきます。
なお、ここで説明するRAW編集の露光は、カメラの設定露光とは、別物であることに注意してください。
また、RAWでは白飛びしていない場合を扱っています。
写真1,2,3はE-PL6 f1.4 1/200sec 25mm(50mm) ISO200で撮影しました。
写真1(左)はdarktableで画像を読み込んだ状態です。この状態では、ベースカーブが適用されていませんでした。
写真1(右)は露光調整したものです。ここでは、Jpegの白飛びチェックをかけていますが、白飛びは出ていません。
写真1はグラデーションがつぶれていて、なんとなく、色飽和しているようにも見えますが、Jpegの白飛びチェックではOKです。つまり、ここでグラデーションがつぶれているのは、被写体深度が浅くて、ピントがあっていない、ボケているためです。
注意の第1は、ピントが合っていないグラデーションのつぶれと、色飽和によるグラデーションのつぶれを区別することです。ピントが合っていないグラデーションのつぶれは色飽和の修正ではなおりません。
写真2(左)の画像は、写真1(左)の画像と同じ画像で、元の画像を読み込んだままの画像です。
写真2(右)の画像は、写真2(左)の画像に、ベースカーブを適用したものです。ここでは、白飛び(色飽和)が起きています。
RGB画像では、RGBの全てが飛んでしまうと、画面上では白飛びになります。RGBのどれかが飛んでいない場合には、ピクセルは白くなりませんので、色飽和になります。
darktableのデフォルト設定では、98%以上の値の画素を、白飛びとして表示しています。RAWの白飛びの場合には、RGBセンサーの値が上限値を越えている場合に相当し、白飛びはRGB別々に表示されます。Jpegの場合の表示は、RGBには分かれていません。白飛びの98%の計算はJpegのRGBのデータに基づいて行う場合と、Lab空間のLのみに基づく方法が考えられます。しかし、Jpegの白飛び指定では、白いところだけでなく、色のついてところも表示されます。これから、Jpegの白飛びのアルゴリズムは、RGBの値に基づいていると判断しています。つまり、次にようになっていると考えています。
Jpegの白飛び表示=白く飛ぶ本来の白飛び+色飽和
ですから、画面で色のグラデーションがおかしい部分が、色飽和になっているかを確かめるには、Jpegの白飛びチェックがつかえるはずです。
写真3(左)の画像は、写真1(左)の画像と同じ画像で、元の画像を読み込んだままの画像です。
写真3(右)の画像は、写真2(右)の画像に、露光調整をしたものです。ここでは、白飛び(色飽和)が抑えられています。
つまり、露光を下げれば、色飽和は起こりません。
写真4と5は、E-PL6 f1.7 1/4000sec 17mm(34mm) ISO100で撮影したものです。
写真4(左)は写真4に見える露光パラメータ(P1)で露光調整した画像です。
写真4(右)も写真4に見える露光パラメータ(P1)で露光調整した画像で、写真4(左)と同じ画像ですが、Jpegの白飛びチェックをかけています。
写真4の右と左を比べると、色飽和を起こしている部分がわかります。
写真5(左)は写真4(左)と同じ露光パラメータ設定(P1)の画像です。
写真5(右)は露光素を写真5の露光パラメータ設定(P2)に変更しています。写真5(右)ではJpegの白飛びチェックをかけていますが、白飛びがないので、表示されていません。チェックがかかっていることは、黒飛びの部分が緑色に表示されていることでわかります。
写真5の左と右を比べると、花の細部は色飽和してない右の方が、よく表現さています。しかし、右の画像の全体の露出は暗すぎると思われます。
以上のように、注意の第2は、色飽和の解消は、全体の露光を適正に保ちつつ、花の部分の色飽和を抑える課題だというこです。色飽和の問題は、全体の露光の問題と切り離しては考えられないということです。
この問題は次回に検討します。今回は、色飽和と露光の関係を整理してみました。