今回は、ローカルコントラスト・モジュールを検討します。
Aurélien PIERREさんのYoutubeを見るとポートレートでは、パラメータを調整して、ローカルコントラスト・モジュールを使う方法を推奨しています。
今回はこの点を検証してみます。
写真1は、左がローカルコントラストなし、右がローカルコントラストをモード1で使った場合です。なお、モード1、モード2の設定は後で説明します。右の方が立体感のある写真になっているので、ローカルコントラストは有効と思われます。
写真2は、左がローカルコントラストなし、右がローカルコントラストをモード2で使った場合です。この場合も、顔の立体感が強くなるので、ローカルコントラストは有効と思われます。
写真1と写真2を比べると、写真1の方が、ボケているとはいえ背景が写っているので、ローカルコントラストの効果が強く感じられます。
ポートレート撮影の場合には、人物以外には目が行かない写真を作ることが原則になります。しかし、写真2のように証明写真のように、モノトーンな背景にしてしまうと、後で、手の入れようがなくなります。スタジオ撮影の場合には、ライティングも含めて、完全な写真が撮れますが、自然な表情という点では、写真1のようなスタジオ外の写真にアドバンテージがあります。
以下では、モードの説明と、細部の違いを見ます。
写真3の左はローカルコントラストなし、右はローカルコントラストのモード1です。ここでモード1といっているのは、ローカルコントラストのデフォルトのパラメータ設定です。写真3の右側に写っているスライダーのパラメータ設定です。眉の部分を見ると、右の方が、コントラストが強くなっています。
写真4の左はローカルコントラストなし、右はローカルコントラストのモード2です。ここでモード2といっているのは、ローカルコントラストのデフォルトのパラメータ設定から、ハイライトとシャドウの値を0に変更したパラメータ設定です。写真4の右側に写っているスライダーのパラメータ設定です。眉の部分を見ると、写真3よりは弱いですが、右の方が、コントラストが強くなっています。
写真5の左はローカルコントラストのモード1、右はローカルコントラストのモード2です。眉の部分を見ると、左の方が、コントラストが強くなっています。
写真6の左はローカルコントラストなし、右はローカルコントラストのモード1です。ここでモード1といっているのは、ローカルコントラストのデフォルトのパラメータ設定です。写真6の右側に写っているスライダーのパラメータ設定です。左右の眉の間の皮膚の皺をみると、右の方がはっきりしています。
写真8の左はローカルコントラストのモード1、右はローカルコントラストのモード2です。左右の眉の間の皮膚の皺をみると、左の方がはっきりしています。
まとめると、写真6,7,8で皮膚の皺が目立つ順番では次になります。
ローカルコントラストのモード1>ローカルコントラストのモード2>ローカルコントラストなし
ですから、細部を見れば、ローカルコントラストは使うべきではありません。一方、写真1,2のように全体を見ると、ローカルコントラストは写真に立体感を与える効果があります。
つまり、数学的に言えば、ローカルコントラストは大域的な最適化にはなるが、局所的な最適化にはならないということです。言い換えれば、等倍できれいに見えるRAW編集(局所最適化)と画像全体がきれいに見えるRAW編集(大域的最適化)の最適パラメータは異なるということです。
この点は、試す前からわかる当たり前な結果ですが、今まで検討されていない点です。
使用した写真は、「FREE RAW PHOTOS FOR EDITING」というサイトからダウンロードしたもので、特に、ライセンスの制限はないようです。
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FREE RAW PHOTOS FOR EDITING
https://www.signatureedits.com/free-raw-photos/