グリーンハイム手代木第二住宅~つくば市とその周辺の風景写真案内(133)

グリーンハイム手代木第二住宅

グリーンハイム手代木第二住宅は、1982年3月に竣工した木造2階建てのマンションで、4LDK(126.28m² 1階車庫18.63m² を含む)が35戸からなっています。

設計は藤本昌也で、藤本の最初の設計が、水戸にある六番池住宅(1973)で、茨城県に関係の深い人です。

藤本昌也は洞峰公園にある学園都市記念館を設計した大髙正人の弟子です。『藤本昌也:戦略的「住まい・まちづくり」の作法を考える』には、次のような大高の言葉が紹介されています。これから、藤本にとって、団地の設計は本質的な仕事になっていることがわかります。


私は建築家大髙正人(故人)のもとで、故郷広島の「基町高層団地」の設計・監理に携わっていた。(中略)

「建築家に求められる一番大事なことは“基本的スタンス”だ。建築は人間を幸せにするためにある。その原点を見失うことなくブレないで活動することだ。」

最高裁の仕事と基町団地の仕事のどちらを取るかと言われれば、私は基町団地の仕事を取っていたと確信を持って言える。基町の仕事は一般性があり、社会性がある。困難な都市問題との闘いを内包している。」

基町団地の仕事を通しての師匠大髙の言葉である。


 

グリーンハイムは、典型的な分譲住宅に近く見えたので、最初は紹介するのをやめようかと思いました。

しかし、他の建築を見ていると、建築家の関心は、建築の外のデザインと間取りが中心で、交通問題には関心がはらわれていないのです。典型的な問題は、駐車場で、駐車場があとで取り付けたような扱いになっていることが多いです。例外は、県営松代アパートくらいです。グリーンハイムでは、駐車場は、最初から、建築の一部として組み込まれています。なので、これは、紹介すべきと思いなおしました。

写真1,2,3とも表側が全て駐車場側になります。逆にいえば、通りからは、建物の反対側はみえません。

写真3では、駐車場は直線のセンターラインのある公道に面しています。一方、写真1と写真2では、曲がった私道に面しています。写真2では、手前に車止めが写っていますが、撮影は遊歩道から行ったでので、自動車が遊歩道に入らないための車止めと思われます。遊歩道は、人と自転車しか通行しませんので、車の道との区別がついています。一方、住宅地の中に入ると、写真の私道では、この区別はなくなってしまいます。さらに、大きな問題は、グリーンハイムでは、駐車場問題が解決していない点にあります。つくば市内では、現在も人口が増加していて、建売住宅が販売されています。その場合の駐車スペースは、最低でも2台、多くは3台分のスペースをとっています。つまり、グリーハイムの1台では、多くの場合には、駐車スペースが不足し、近隣の駐車場を追加で、借りていると思われます。

欧州やオーストラリアでは、交通体系に対して、実に様々な試みがなされています。たとえば、最近のドイツの動向は武邑光裕の記事でみることができます。

つくば市は国策で建設された実験都市です。その当時の日本の英知と思われる人々が、都市計画に参加し、膨大は国費がつぎ込まれました。このブログでお伝えしている写真は、その成果ですが、交通問題に関しては、なにも解決できなかったという印象を受けます。

f:id:computer_philosopher:20200810135058j:plain

写真1 グリーンハイム手代木第二住宅

 

 

f:id:computer_philosopher:20200810135018j:plain

写真2 グリーンハイム手代木第二住宅

f:id:computer_philosopher:20200810135123j:plain

写真3 グリーンハイム手代木第二住宅

 

 

  • 現代計画研究所

http://gkk-tokyo.com/index.html

  • 藤本昌也 私のこれまでを振り返って1973~2015年

https://www.machinami.or.jp/pdf/machinami/machinami073_10.pdf

  • 藤本昌也 戦略的「住まい・まちづくり」の作法を考える

https://www.jstage.jst.go.jp/article/uhs/2018/100/2018_39/_pdf/-char/ja

  • 現代計画研究所 wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E8%A8%88%E7%94%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

  • 武邑光裕 ドイツで進む「新しいクルマ」のあり方 企業も市民も行政も価値観を変えた

ニューズウィーク 2020年08月07日(金)

https://www.newsweekjapan.jp/takemura/2020/08/post-4.php