美容室JOY~つくば市とその周辺の風景写真案内(126)

美容室JOY ダイアナクラージュエステレグレ

若柳建築事務所のHPを見ていたら、作品集のなかで、次のような説明がありました。


「非日常の演出」が、キーワード。美容室やエステティックサロンを訪れる女性に夢を与えたいというクライアントの願いに、リゾート気分でリフレッシュできるようデザインした。ヴォールトの屋根を全体のバランスに配慮して設け、優しいムードの建物になった。

●「地中海が聴こえるビューティーサロン」というタイトルで、三井ホーム'99 HOUSE of the YEAR の非専用住宅部門最優秀賞を受賞した。


こう書かれると、これは、是非見に行こうという気になり、写真を撮ってきました。

部外漢が言うのも変ですが、建築の賞はかなりの数があって、ランクの高い賞の受賞は難しいですが、ともかく賞をというのであれば、必ずしも難しいは言えないようです。そういえば、業績評価が厳しくなった結果、会費を払ってくれる会員の便を図って、学会賞の数を増やした学会もかなりあるようなので、同じような事情かもしれません。なお、上記の賞は、この話とは、直接は何も関係ありません。

写真1に全景を示します。若栁建築事務所の今まで紹介した建物は、三角形の活用に特徴がありますが、今回は丸屋根です。左の丸屋根に「美容室JOY」とあり、右の丸屋根に「ダイアナクラージュ」と書いてあるので、左が美容室、右がエステかもしれません。長方形の建物が両端がちょっと出て、コの字型になり、その部分に丸屋根がのっているデザインは、パセオ ヌエボ つくばと共通します。建物のサイズは、パセオ ヌエボ つくばの半分くらいです。しかし、似ているのはコの字型に丸屋根が載っているところだけで、デザインは、こちらが凝っています。まず、左と右の円弧の半径が異なり、左の高さの高い方が小さな半径になっています。つぎに、各円弧は2本の線からできていて、内側の円弧の半径が外側の円弧の半径より少し大きくなっています。さらに、左右の2本の線でできた円弧の下に、よく見るともう一つ円弧があり、左右とも3本の円弧でデザインされていることがわかります。1階の中央にも円弧があります。また、中央の屋根の上には、城砦の上にあるような印象的な凸凹のデザインがあります。更に、同じデザインが、左側のベランダの手摺にも使われています。人間の目は、同形のパターンがあると無意識に、同形を探します。そして、完全な同形(凸凹)と微妙に異なる同形(左右の円弧)に反応します。このデザインは、目のこうした性質を使って巧妙に作られているため、見ていても飽きが来ることが少なくなります。似ているパターンを繰り返すことはデザインの基本です。前回のパセオ ヌエボ つくばでも、入り口のプレートと屋根に同色の赤が扱われ、繰り返し効果を出していました。

写真2は左側の1階の窓です。例によって、竣工当時に比べると木が大きくなっている可能性がありますが(注1)、木で見通しが悪くなっている分を差し引けはば、窓が木に囲まれるきれいなデザインと思います。

 

注1:若栁建築事務所のHPに竣工当時の写真はのっています。それを見ると、まず、右側の「ダイアナクラージュ」の部分には植生はありません。写真2の部分の植生は小さく、2本の同じ大きさの木の間に窓が見える構造になっています。現在は、写真2の左の木が、右の木より大きくなってバランスがすこし崩れています。

 

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写真1 美容室JOY ダイアナクラージュエステレグレ

 

 

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写真2 美容室JOY ダイアナクラージュエステレグレ

若栁建築事務所 美容室JOY

http://wakayanagi.co.jp/works-b03.html