darktableで建築を写す(5)

逆光の補正

風景写真では、逆光は禁じ手で、できれば使ってはいけません。しかし、撮影の時間帯や足場の関係で、逆光でしか撮れないときもあります。そんな場合には、逆光補正にはトーンイコライザーを使います。

なお。似たような機能のシャドウとハイライトモジュールは画像劣化を起こすので、意図的にHDR風に画像を編集するような場合以外には、使うべきではありません。

トーンイコライザーモジュールは、明るさのゾーンごとに機能する露光モジュールですので、画像の劣化は、露光モジュール同様に、最小限になります。トーンイコライザーは、マウスのカーソルを明暗を変化させたい部分において、マウスのホイールを回して、部分的な明暗を調整します。普通は、これで十分ですが、画像の中に同じ明暗のレベルの部分が複数あり、そのうちの一部だけを補正したい場合には、マスクと併用します。

以下の写真1,2、3では、左が元の画像で、右がトーン・イコライザーで処理をした画像です。

写真1の右の画像は、左の画像に比べれば、暗所が持ち上がっています。しかし、太陽が写りこんでいるので、写真2では、空の部分だけは、レタッチツールで太陽の反射を消しています。建物の上の部分は難しいです。

写真3でも、左の画像の暗所を右の画像ではトーン・イコライザーで持ち上げています。

写真4では、RAWの飛んでいるところを表示しています。左上の桟の部分と、奥の自動販売機の右の部分は白飛びしていてデータがありません。

白飛びした画素の修復に使うツールは「カラー復元」または、「ハイライト復元」です。カラー復元は、白飛びしたデータを周辺の飛んでいないデータで置き替えます。しかし、桟の場合には、飛んでいないところは、木枠の部分になり、飛んでいる部分は明り取りの部分になるので、この方法は使えません。「ハイライト復元」も、同様に、白飛びした部分に代入する値の設定で、うまくいきません。ですので、今回は、白飛びの補正は出来ませんでした。

フイルム写真の時には、明暗の補正は出来なかったので、昔の写真では、黒飛びに近い暗所が多く残っていることが多いです。ですので、アートで言えば、黒飛びに近い暗所は残すべきしれませんが、建築の構造を見やすくする目的では、修正すべきと思います。また、最近のカメラには、自動的に白飛びに近い部分を抑え、黒飛びに近い部分を持ち上げるフィルターがついていますが、トーン・イコライザーの方が各段に性能が高いので、筆者は、これらは使っていません。なお、写真4のように白飛びしてしまうと、手に負えなくなるので、通常は、露光を-0.7EVに下げています。写真4はそれでも白飛びしています。晴天の日は、更に、露光を下げるか、NDフィルターをつかうしかないと思われます。

 

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写真1

 

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写真2

 

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写真3

 

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写真4