darktableで建築を写す(3)

アオリ補正の見慣れた風景

アオリ補正が一見最適と思われる風景でも、アオリ補正がなじみにくい場合はあります。

今回は、そんな例を取り上げてみます。

以下の写真1と2は、左が元の画像で、右がアオリ補正をした画像です。

写真1は姫路城です。これは、天守閣が上にいくほど小さくなる作りであること、石垣の線が、曲線で、垂直線に補正してはいけないためと思われます。

 

写真2は東寺の塔です。これも見上げることを前提としたデザインになっていると思われます。アオリ補正すると不自然になります。相輪の部分が肥大化したように見えます。ディズニーランドも建築も視覚効果を狙って上の階が小さくなっているので、アオリ補正にむいていないとおもわれます。

また、アオリ補正はフィルム・カメラ時代にはアオリレンズという特殊なレンズを使った撮影でした。ですから、アオリ補正をしていない写真で見慣れた風景は、補正をすると、見慣れない風景になってしまう可能性があります。

写真3はモンマルトルの丘の写真です。これにアオリ補正をかけた画像が写真4です。建築写真としては、写真4が正しい写真で、丘の上の寺院だけをみれば、確かに写真4が正解です。しかし、階段も入れて全体で見ると、写真3が見慣れた風景で、写真4は、不自然な風景になってしまいます。写真の利用目的によっても、アオリ補正を使うか、否かが左右されます。

 

 

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写真1  姫路城

 

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写真2 東寺の塔

 

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写真3 モンマルトルの丘

 

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写真4 モンマルトルの丘