セントラルタウン自治会館裏の池~つくば市とその周辺の風景写真案内(83)

セントラルタウン会館前公園

Google Mapをみていたら、今まで気が付かなかった、池があり、そのそばに、「セントラルタウン会館前公園」と書かれていました。なのでてっきり、この池は、セントラルタウン会館前公園の一部であると思って、行ってみたら、セントラルタウン会館というのは、宅地開発をした時に作った公民館のような建物の名称で、セントラルタウン会館前公園というのは、その建物と前の道路の間の遊具があるミニ公園のことだとわかりました。この池は、セントラルタウン会館を挟んで、道路と反対側にあり、公園には属していません。いまのところ名称は不明です。

撮影は6月に行ったのですが、この時期に、水が満水近くあるので、洪水調整池ではなく、農業用のため池と思われます。

写真1が道路がL字型に池に面している交点から反対側を見たものです。

地理院地図で標高を確認したところ、この地点が、流域の下流になり、流域の水が集まって池をつくっています。手前の塩ビパイプは、揚水ポンプと思われます。写真1の左側が県道館野牛久線です。

写真2は、県道館野牛久線側から撮影した池です。中央の木にかかっている建物がセントラルタウン自治会館で、さらにその裏側に公園があります。

写真1、2の風景は、今まで紹介してきた公園の池の風景とはずいぶん異なります。

その理由は、セントラルタウンが、旧宅地造成法でつくられていることにあります。

現在の住宅地の土地利用計画は、昭和43年に施行さた新都市計画法に基づき、都市地域を住宅に供する土地に、市街化調整区域を住宅に供しない土地に区分しています。つまり、土地は、ゾーニングされ、市街化調整区域に区分された場合には、住宅は建築できません。これは、公務員試験にもよく出題される事項なので、地位開発に関連した大学の学科では必須の学習内容です。

ところが、試験にでない範囲になりますが、新都市計画法ができる前には、短期間ですが旧宅地造成法で宅地開発が行われていました。この時に、開発された住宅地は、後発のゾーニングの縛りをうけません。ですので、市街化調整区域内でも、住宅建設が可能になります。

セントラルタウン団地は、市街化調整区域内にありますが、旧宅地造成法でつくられた住宅地なので、住宅の建設が可能です。ただし、団地開発に伴う公園などの施設の設置要件が、新都市計画法のものとは異なりますので、景観が異なってきます。おそらく、新都市計画法のもとであれば、この池は、公園の一部に組み込まれたのではないかと思われます。

吉田によれば、2003年の時点で、茨城県内に旧宅地造成法による宅地開発が222カ所(950ha)あります。つくば市には、47カ所(290ha)あります。およそ、4分の1になり県内最多です。なお、最近のつくば市のデータでは、旧宅地造成法による宅地開発は36カ所に減っているようです。旧宅地造成法は施行期間が約4年と短く、現在の土地利用計画では、例外的な扱いになっているため、研究対象に選ばれることも多いようです。

色々書きましたが、風景写真家としては、公園の隣に、これだけの水面があるのに背景に取り入れないのはもったいないという感想です。

 

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写真1 セントラルタウン自治会館裏の池

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写真2 セントラルタウン自治会館裏の池
  • 旧住宅地造成事業地区およびその周辺農地における 空間の粗放化に関する研究-茨城県つくば市域を事例として-

(旧)「住宅地造成事業に関する法律」は、昭和39年7月9日に法律第160号として施行され、昭和41年7月1日に改正された後、昭和43年6月15日に廃止されている。現行都市計画法が施行されるまでの非常に短期間に住宅地開発の根拠法として存在した法律で、小規模な開発のコントロールを行うことが困難との当時の状況を鑑み、その後、本法律の内容は昭和43年に施行される新都市計画法に受け継がれる形で是正され、新たな新法開発許可制度へと受け継がれることとなった。

http://www.lij.jp/info/sien/sien13/yoshida01.pdf

つくば市には、旧住宅地造成事業により造成された団地(旧宅団地)が36カ所あります。これらの団地について「旧住宅地造成事業施行地内における建築に対する指導方針」を定めており、指導方針の範囲については建築に関して新たな許可を要しません。

https://www.city.tsukuba.lg.jp/jigyosha/kenchiku/1004238/1004248.html

  • 吉田他:旧住宅地造成事業にる未 成住宅 地の土地所有構造ーっくば市SR地区 を事例としてー

日本建築学会計画系論 文集 第573号,117-124.2003年11

https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/68/573/68_KJ00004226942/_pdf