死亡者率で考える
今まで、国内の都道府県単位で、コロナウィルスを考えてきたので、ここでは、国単位世界での位置づけを考えてみたいと思います。
マスコミの場合、視聴者の感性に訴えて視聴率をあげたいので、「国内の身近な事例」、「海外の極端に不幸な事例」を紹介します。ですので、冷静にデータをみないと状況判断を間違ることになります。
国内の死亡者数のデータが過少である、あるいは、海外の死亡者数のデータが過少であるとの指摘はあります。しかし、無症状感染者が把握でていない誤差よりは小さいので、感染者数のデータより、死亡者数のデータの方が国別比較に適しています。
感染者数のデータは「グラフの時間軸の起点を「累積感染者数が100人を超えた時点」とするのが通例」らしいですが、人口あたり死亡者数では、100万人あたり0.1人の時点を起点とするようです。これは、おそらく、SN比の問題で、コロナウィルスのない場合の平均的な100万人当たりの死亡者数よりも大きなオーダーが選択されていると推定しています。
Our World in Data
今回は、Our World in Dataを引用します。グラフは国別の100万人あたりのコロナウィルスの死亡者数で、時間軸は、その国の人口あたり死亡者数では、100万人あたり0.1人の時点をが起点です。縦軸は対数です。
このグラフでは全データはグレーのラインでかかれていて、ピックアップした国に色を付けることが可能です。
図1では日本とロックダウンを解除しつつあるドイツとスイス、ロックダウン中のスペインとロックダウンをしないスウェーデンを示しています。スウェーデンはロックダウンをしていませんが、死亡者数では大きな差はありません。ただし、ドイツやスイスのようなピーク後の減少傾向がなく、高止まりしています。
ただし、日本と比べると、あまりに死亡者数が多いので、感染経路が違いすぎて、参考にはなりませせん。
図2は、死亡数が日本に近い国でロックダウンを解除中の国、ロックダウン中の国をあげました。これら国の特徴は死亡者数に明確な減少トレンドが見られることです。ここではピックアップしていませんが、感染者数が少なく、データの信頼性が怪しい国では、死亡者数のデータがバラつくので、死亡者数のグラフが0.1前後でランダムウォークのように変動しています。こうした例を除くと、日本以外の国は、死亡者数の明らかな減少傾向がみられます。
国内のデータは例えば、NHKのサイトでグラフ化されています。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
死亡者数の減少のピークは感染者数より1か月程度遅れいます。これは、発症、症状悪化の時間遅れと思われます。ただし、NHKのグラフは縦軸を対数に変更できません。
まとめ
まとめます。
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感染者数の多い国は、死亡者数は増加し、ピークをつくって、減少に転じます。
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感染差者数の少ない国では、死亡者数は最小の10から20日は増減があまりみられず、その後、減少傾向に転じます。
感染者数の少ない国で、死亡者数の減少傾向が明確でない国は日本だけです。
これからか考えられることは、「死亡者数の減少傾向変化しない」状態は、不安定な状態であって、時間の経過と共に、1.または2.のパターンに移行するのではないかということです。
であれば、今後の変化には注意が必要になります。
世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味
プレジデントオンライン 5月7日
https://president.jp/articles/-/35219
Our World in Data