今までのまとめ
Googleデータは感染者数の予測指標としては問題点も多いのですが、他に、公開データがないので、とりあえず、これで、見ています。特に、北海道のような積雪地帯では、雪解けによって行動パターンが大きく変わります。雪解け後は、行動空間が広がるので同じ行動制限率でも、密集のリスクは低下すると思われます。
なお、データは、感染者数(発表日)と行動制限率(Transitデータ)全て7日移動平均をとっています。グラフでは、行動制限率は、2週間あとの日付にプロットしました。これによって、行動制限が変化し、感染が変化し、2週間後に結果が感染者数に現るとした場合の大まかな傾向が確認できます。感染者(人)が左軸、行動制限率(%)が右軸です。
Google Mobile Reportには都道府県ごとのデータがあり、非常に使いやすいのですが、データの更新がおくれます。今回は、5月28日に、GMT27日の更新データをダウンロードしましたが、最新のレコードは5月21日です。
Apple Mobile Reportが、毎日データを更新していることがわかったので、今回はこのデータも追加しました。
ただし、次のような特徴があります。Transitはcityデータにはついていますが、region にはありません。
使えるcityデータは東京、札幌です。理由は不明ですが横浜はありませんでした。
データは毎日更新されますが、最新の日付がそろっているわけではありません。
最新の5月26日のデータを28日にダウロードしましたが、東京の最新のデータは26日分でしたが、札幌は25日でした。
5月11日と12日は欠測でデータがありません。ここでは、5月11日のデータには5月10日の値を、5月12日のデータには、5月13日の値を代入しています。
要点は以下です。
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感染者がピークを越えて、減少に転じた時期は、Googleデータで行動制限率が-30からー40%の間である。したがって、-40%以下であれば、感染者数が増加する可能性は低いと考えられる。
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行動制限率は3都道府県では、東京、神奈川、北海道の順に減少率が大きい。特に、東京と北海道の間には行動制限率で10ポイントくらいの差があり、北海道の感染者数の減少は東京より緩やかになっている。
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ロックダウンや非常事態宣言を解除すると感染者数が再び増える可能性がある。こうなると、感染者数のグラフは2こぶの形状をしめす。しかし、過去のデータから感染の再拡大が確認できる事例は、北海道とイランだけである。したがって、いったん抑え込んだ感染者数が再び増加するリスクはあまり高くないと思われるが、それだけに、北海道に注意する必要がある。
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非常事態宣言の解除直前の分析では、東京都以外の神奈川県と北海道は、目標の25日には、感染者数の減少は基準値に達しないが、行動制限率がー40%より大きいので、時間の問題で、基準値はクリアできると思われる。ただし、懸案事項として、(1)過去の感染差者数のデータをみると7日10万にあたり0.5人はかなり感染を抑え込んだ時期でしたクリアしていないので、その点で、不安がある。(2)連休明けに行動制限が一度に減少したので、これが、拡大すると感染者が再発するリスクが増える。Googleデータでは、連休明けに行動制限率が大きく変化したが、そのあとの変化率は小さいので、当面は大きな心配ではない。
今回は、この4.を中心に、データをチェックしてみます。
神奈川県
神奈川県は、行動制限率の変化がとどまっていて、感染者数の減少が続いていますので、4.の予測通りの感染者の変化パターンになります。基準値(6.5人)もクリアできるゾーンに入ってきました。
東京都
感染差者数は、基準値の10人未満をキープしています。その点では優等生なのですが、次点の不安があります。
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感染者数の減少傾向が、見られなくなっている。ほぼ、水扁(変化なし)または上向き(若干増加)にも見える。
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感染者数の変動と行動制限率の変化には、増減の対応があるようにも見える。最近は、行動制限率が-40%を超えていれば感染者数は減少するとは言えないかもしれない。
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AppleレポートとGoogleレポートは増減のパターンがほぼ一致している。これからすると、この先のGoogleレポートの行動制限は緩くなってくる可能性が高い。
というわけで、神川県ほど、自信をもって、更に、感染者数が減少すると考えにくくなっています。
北海道
北海道の感染者数の推移、行動制限率の変化も、基本的に、東京都同じ傾向です。基準値3.7人をクリアすることは出来ないように思われます。北海道では、行動制限が東京都ほどはかからず、感染者数の減少速度もゆっくりであったため、感染者数が最小値レベル(5人)にあった期間が短くなっています。
図を見ると「感染者がピークを越えて、減少に転じた時期は、Googleデータで行動制限率が-30からー40%の間」という公式は、増加を抑えた時期で見れはあっていますが。減少が確認できた時期では、-50%が境のようにも見えます。北海道は行動制限率と感染者数の変化が共に緩やかなため、傾向変化の判断が難しいのです。Appleデータとの対比でみると、今後のGoogleデータは行動制限率が少し弱まる方向に変化すると思われます。
今回追加したAppleデータでみると、行動制限率がー35%を超えたあたりで感染者数の減少が明確になっています。行動制限率が直近の値に対応する過去の時期は、5月1日頃で、この時には感染者数は増加していました。
以上のように、行動制限のデータだけから見ると、北海道の感染者数は、急激に増大することはないものの、減少傾向が継続してつついて、基準値をクリアし続けるとは考えにくいと思います。
出典
tokyo
5月21日発表のデータ修正は反映されていません。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
kanagawa
https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/1369/
hokkaido
https://www.harp.lg.jp/opendata/dataset/1369.html
Google Mobile Report
https://www.google.com/covid19/mobility/ Accessed: <2020.05.28>.
Apple Mobile Report
https://www.apple.com/covid19/mobility Accessed<2020.05.28>.
北海道の最新の感染者数が表示されないエラーを修正しました。(図3)
合わせて、28日の感染者数データを追加しました。(図1,2,3、)