樹木管理の課題
松見公園でも紹介しましたように、つくば研究学園都市の移転は1976年ころからです。
研究学園都市計画の前からの研究機関は自動車研究所だけで、自動車研究所は、独自のサーキットを持っていましたので、サーキットが取れる場所ということで、現在のつくば市に設置されたと思います。なお、サーキットは研究学園駅あたりにありましたが、現存していません。
研究学園都市が進んで、高エネルギー物理学研究所、筑波大学(旧東京教育大学)が移転してきます。
このころは、まだ、都市計画の道路は建設中で、旧道しかありませんでした。政府は、道路や公園を造りながら、研究機関の順次移転が進みます。公園では、従来の松林を生かした場所もありますが、都市計画の実験場ですから、基本、デザインに従って、樹木を植えます。同様に、道路にも街路樹を植えます。というわけで、短期間に膨大な量の植木が必要になり、日本中から木をかき集めます。木が足りなくなり、樹種の選択の幅を緩めて、使える木は何でもよいということになりました。
こうして、短期間に非常に多くの植樹がなされます。その中には、植樹した時に、対象の場所には、樹種としては、大きくなりすぎることがわかっていたものも多くあります。
とはいえ、木は最初は小さいのですぐに問題が表面化することはありません。
しかし、植樹から40年以上が過ぎ、本来の大きさに育った木が沢山でてきました。木の根は、歩道の敷石を壊します。昨年の台風では、倒壊しそうになった木も多くでました。
ということで、つくば市は樹木の管理計画を作成し、大きすぎる木は間引くことにしました。また、台風での倒木被害を防ぐために、えだも落としています。
写真1は、今年に入って切られた木です。切り株のにわき目が出ています。森林(山)の中で、倒れた木では、こうしたわき目が育って世代交代が行われるでしょうが、このわき目にそのチャンスが与えられることはなさそうです。
写真1は、フィルターをかけて選別しました。参考までに、ボツにした事例を写真2と写真3に示しておきます。選択は正しかったでしょうか。絵画を描く違って、写真の撮影は、一瞬です。現像やトリミングするとそれなりに時間がかかりますが、絵を描くことと比べれば、問題にならないくらい短い時間です。だからといって、写真を撮ることが絵を描くより簡単であるとはいえません。
撮影する前の構想が重要であることは、絵を描く場合と同じです。絵を描く場合には、実際に、筆をとる前に、頭の中で、シミュレーションします。見える実体を、どのアングルで切り取って、どの線と、どの色を使って、どこは省略してなどと一瞬で頭の中でパーツを作って構成します。絵の具の場合には、不透明絵の具でも、やり直しは少ししかできません。絵の具を重ね過ぎると色が濁ったり副作用がでます。写真の編集では、やり直しは自由にできますが、撮影した時の画角や、露出、絞り、シャッター速度などは後で変更できません。ですから、撮影する前に、頭の中で、光線の量、向き、画角を考えて、シミュレーションをして、上手くいきそうなところにカメラを構えて、撮影します。このため、個人的には、屋外での三脚の利用は好きではありません。これは、画角と光線の自由度が下がるからです。
しかし、写真を難しくする最大のポイントは、選別眼です。似たような写真の中から、ベストな1枚を選ぶこと、しかも、ライトテーブルにある見えるままの写真ではなく、編集後の写真を想定して、ベストの1枚を選ぶことは至難のわざです。写真1,2,3は同じRAWデータを使っているので、ショットは同じです。トリミングとフィルターが違います。こうしてRAW編集になれると、撮ってだしのカメラのJpegはピントがボケているか、対象が画角からはみ出していないかなどのだめだしにしか使えず、ベストを選ぶことには使えません。
写真の撮影費用は小さいので、活用する可能性のない写真を削除して保存することが大きな課題になります。