西浦モデルでみる東京都の感染者数予測(その2)~コロナウィルスのデータサイエンス(その33)

google reportの更新

(その32)では、東京都の20日までの感染者数と4月11日までのgoogle reportを使いました。

Google Reportが更新されて、4月17日までのデータになりました。

2週間(14日)のタイムラグを見ると、4月11日は4月25日に対応するので、古いGoogle Reportでも今週は対応できるのですが、これで、来週の動向の予測ができそうになりました。

図1が17日版の東京のGoogle Reportの値ですが、ここでは、曜日効果を消すために、7日の移動平均フィルターをかけています。ですので、17,16,15日のデータはありません。

 

  • retail_and_recreation_percent_change_from_baseline ベースラインからの小売およびレクリエーションの利用の変化率:概ね減少傾向で55%まで減少

  • grocery_and_pharmacy_percent_change_from_baseline ベースラインからの食料品および薬局の利用の変化率:ベースライン前後を移動し、大きな変化傾向はない

  • parks_percent_change_from_baseline ベースラインからの公園の利用の変化率をパーク:連休の花見の時に、ベースラインを大きく上回り、その後は、10%程度の若干の減少

  • transit_stations_percent_change_from_baseline ベースラインからの乗換駅の利用の変化率:概ね減少傾向で、60%まで減少

  • workplaces_percent_change_from_baseline ベースラインからの職場利用の変化率:概ね減少傾向であるが、乗換駅より10%くらい高い値で推移

  • residential_percent_change_from_baseline ベースラインからの在宅利用の変化率:若干の増加傾向

減少幅の最大は乗換駅ですが、それでも60%には届いていません。

 

 

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図1 東京都のGoogle reportの概要 4月17日版

 

東京都の感染者数の予測

図2は、前回と同じ、感染者数の移動平均のグラフです。データは4月24日に更新しています。今回は、比較のために、google reportの東京データのうち、乗換駅のデータを代表として、プロットしてあるります。「G交通量」がそのデータで、軸は右側を使います。この乗換駅のデータは、次の加工をしてあります。

  • 曜日効果を消去するために7日間の移動平均フィルターをかけてあります。

  • タイムラグの効果を消去するために14日ずらしてあります。例えば、4月28日にプロットされているデータは4月14日のデータです。

これを見ると、感染者数の4月9日からの増加率の低下は、乗換駅の利用率に対応(元の日付は3月26日)しています。しかし、その後、利用率は順次低下していますが、感染者数の低下は非常に緩やかです。これから、次のことが言えます。

  • 乗換駅の利用率の低下がベースラインから40%を超えると、感染者数は若干低下傾向になる。

  • あるいは、乗換駅の利用率の低下がベースラインから30から50%の間には、利用率の低下に対応して感染者数が緩やかに減少する傾向がある。

乗換駅の利用率の60%以下の低下でも、感染者数の低下傾向には、寄与しているようにみえます。

西浦モデルでは、70%を超えないと目に見える効果はないとのことだったので、それは、この結果に合致します。しかし、40~50%の低下でも、足踏み状態ではなく、若干下がっているように見えます。この低下の幅は非常に小さいので、低下するとは予測しにくいです。ただし、google reportの最近のデータでは、利用率の低下は、さらに、強まっていますので、あえて反転して増加すると予測する根拠はありません。ですので、ここでは、若干の減少傾向のトレンドがあと5日程度は続くと考えます。その予測線は赤の点線でいれてあります。

 

 

 

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図2 東京都の感染者数の予測