コロナウィルスのデータサイエンス(その15)

何が問題か

コロナウィルスは視聴率を稼げるというので、マスコミは毎日、報道していますが、それは、感染者数のデータばかりで、亡くなられた方には、弔意を表しますが、端的にいえば、繰り返しが多いです。

その原因は、視聴率を稼ぐには、分かりやすいこと、身近に感じられることが重要なので、感染率、死亡率、死亡者数ではなく、感染者数が使われるのです。

現時点で、はっきりしていることは、もはや、世界的に封じ込め不可能であろうということです。

封じ込み政策が機能しているのは台湾です。中国も封じ込み政策が成功して、新規患者が出なくなったと報道していますが、ダイヤモンドプリンセスのデータからみれば、発症者数の半数程度の健康保菌者がいるので、いったん、広まってしまったら、封じ込めは非常に困難なはずです。もちろん、健康保菌者は2週間程度で、ウイルスに勝って、無菌状態に戻るとすれば、2週間、新患者が発生しなければ、封じ込みに成功した理屈になります。しかし、ウィルスも生存戦略を持っていて、いったん、動物を宿主とするなどの、行動をとるので、あまり単純な話は出来すぎと感じられます。それ以外は、封じ込めには失敗しています。

封じ込み政策が不可能であれば、政策目標は次の2つになるはずです。

  1. 治療が必要な発症者数が医療機関の容量を超えないように、ピークを抑える。

  2. 死亡率を低下させる。

残念ながら、この2つはあまり議論されていません。

死亡率データの課題

感染症学会のHPには関連リンクが整理されていますが、それを見ると、厚生労働省疫学調査の協力願いを呼びかけたのは2月20日です。

残念ながら、ダイヤモンドプリンセスで、疫学調査が行われなかったので、現在のところ、統計分析が可能なデータは中国の武漢のデータしかありません。そして、このデータの死亡率が余りに高かったことが、各国の政策決定に大きな影響を与えてきました。

グラフ1は武漢の年齢別死亡率と日本の平成28年の年齢階層の中央である5,15,25,35,45,55,6,75,85歳の平均余命をプロットしたものです。40代以下では、死亡率が低いことがわかります。また、65,75,85になると、線形に近くなります。

 

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グラフ1


 

グラフ2は、65,75,85のデータだけを再度プロットしました。ただし、武漢データの死亡率は、中国平均よりあまりに高いので、死亡率に1/6をかけています。なお、平均余命は、死亡率の期待値が50%になる時間を意味します。

ウィルスに感染して発熱などすると体力を消耗します。そうすると、持病などがある場合に、持病に耐えられなくなって、死亡することが起こります。死亡報告から、ウィルスの影響だけを分離することは、非常に困難です。

 

 

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グラフ2

 

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報(リンク)

http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31#case_reports