前回も書きましたが、疑問点は以下です。
「焼き芋は、加熱によってサツマイモのデンプン質が麦芽糖に変化することで甘く感じ、この温度が60~70度の間に限られている。」
このことは、多くのWEBや本にのっていて広く知られています。
でも、それであれば、170度でなく、60から70度で加熱すべきではないでしょうか。
芋は水分の多い紅はるかを使います。
前回は「80度60分+170度60分」と「170度120分」を比較したのですが、大きな違いは認められませんでした。問題点の1つは、170度60分の方が、芋の繊維組織が残っていて食感が異なるので、細かな点はわからなかったのです。
「170度60分」と「170度120分」を比べると、後者の方が、繊維質が崩れて、ジャム状になっていたので、加熱不足で、繊維質が残っているのではないかと考えました。
そこで、今回は、次の比較をしてみました。
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case1 170度120分加熱
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case2 「80度20分加熱+40分休ませる」x3回+ 170度120分加熱
結果の写真を示します。
写真1の一番上がcase 1です。
写真1の中央と、下が、case 2です。芋の色がずいぶん違いますが、これは、個体差によるもので、加熱の違いではありません。
予想外のことが起こりました。case2の方が繊維質が残っています。また、甘さが足りません。
case2の芋は、金時系に芋のように、ホクホク系になっています。また、水分が飛びすぎて若干焦げました。
さて、結果と
「焼き芋は、加熱によってサツマイモのデンプン質が麦芽糖に変化することで甘く感じ、この温度が60~70度の間に限られている。」
の整合性を図る必要があります。
結論から言えば、料理において「in vitro」と「in vivo」「in situ」を分ける必要があるのではないかと思います。
「焼き芋は、加熱によってサツマイモのデンプン質が麦芽糖に変化することで甘く感じ、この温度が60~70度の間に限られている。」というのはたぶん「in vitro」です。しかし、芋は生きていますので、このようには反応しないのではないかと思います。
むかし、ビタミンCは100度で3分加熱すると100%分解してしまうといわれていました。これは、「in vitro」です。しかし、実際に野菜を100度で3分加熱してもビタミンCは残っています。これは、植物組織に結合すると耐熱性があがるためのようです。
この点は、今後追加検討したいと思います。
事実だけをいったんまとめます。紅はるかの場合です。
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80度で事前に弱く加熱してから、170度で再度加熱する方法では、80度の加熱の効果はマイナスです。
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芋の太さによっては、2時間以上加熱すると焦げてしまいす。加熱時間は芋のサイズで調整すべきです。