14ビットの世界(2)~RGBワークフローへの道(6)(darktable3.0第104回)

プリントアウトの課題

PIERREさんの図の「紙」がでてきたので、ここで、プリントアウトの課題を整理しておきます。

ダイナミックレンジついては、ディスプレイが8-10EVであるのに対して、プリンタは、5-7EVなので、トーンがつぶれてしまいます。

色については、モニターは光の三原色で、インクの色の三原色とは異なります。一番簡単な例が光ではRGBが合成されると白になりますが、色では黒になります。ですから、画面できれいに見えていても、印刷すると色が変わります。色が変わるのは避けれれないのですが、そのずれが許容範囲かが課題になります。ずれを、最小限にするためには、プリンターのカラーマネジメントシステムを使うことになります。

darktableでは、カラーマネジメントシステムは、MacOS用に開発され、Linuxの標準である、CUPSを使っています。

https://www.cups.org/

もう一つの業界標準は、ICCプロファイルによる色管理です。Windowsの周辺機器は、ICCプロファイルを使っていることが多いです。

残念ながら、CUPS用のICCプロファイルは現在ありません。

このため、Windows版のdarktableには印刷機能がありません。正確に言うと、darktableはもともとLinuxのソフトで、Windowsの移植版が公開されたのは、比較的最近になってからです。Windows版のCUPSが未整備のため、この部分はまだ移植されていないのです。

ですから、Windows版のdarktableユーザーはjpegを作成したあとで、印刷が必要であれば、何らかのソフトで、作成したJpegを読み込んで印刷することになります。

詳しくは、使っているプリンターのメーカーのページを参照するのがよいと思います。

たとえば、筆者のつかっているエプソンであれば、次になります。

https://www.epson.jp/katsuyou/photo/article/iroawase/

なお、エプソンのページでは、Photoshop Elementを例にしたカラーマッチングの説明がなされています。

RAW編集をdarktableで行うのであれば、印刷とカラーマッチングだけできればよいので、Photoshop Elementで問題ないと思います。一昔前には、プリンターやスキャナにPhotoshop Elementがバンドルされていたこともあるので、それが使えれば、それでも良い気もします。また、ユーザー登録しても構わないのであれば、Free Versionもあるようです。

Photoshopは長いことデファクトスタンダードであったために、カラーマッチングの動作確認を、Photoshopで行っているプリンターメーカーが多いので、トラブルが少ないのはPhotoshop系のソフトになります。

なお。Wikipediaでは、Photoshop Elementについて次のように書いています。カラーマッチングを手持ちのプリンターで行うのか、入稿レベルで行うのかで、選択が変わるようです。


Photoshopと比較すると、主に「トーンカーブ」「マスク」「パス」などの機能が制限されているが、安価でPhotoshopエンジンを積んだ自動補正が出来る点などが好評である。イラスト等を作成する場合Web上での発表や紙に印刷するための用途に使用する場合は問題ないが、カラーデータ入稿に必須であるCMYKカラーに対応していないため、データ入稿の際には上位バージョンのPhotoshop CSシリーズあるいは他の画像描画用ソフトを別途用意する必要がある。また、1世代前のバージョンが各種のデジタルカメラやスキャナ、ペンタブレットなどの付属ソフトウェアとして同梱されている場合がある。


デジタルカメラをお持ちでしたら、各メーカーがRAW現像ソフトをバンドルしています。これらのソフトでも、カラーマッチングは出来るようです。

いずれにしても、カラーマッチングできるソフトを使うべきす。また、実際の印刷を見て、色温度などのグローバルな変更をして調整するときれいに仕上がります。

写真用のインクジェットプリンタで、専用用紙を使えば、カメラやさんの印刷よりきれいにすることは可能と思います。

手持ちのプリンターで写真を印刷する場合、カラーレーザーよりインクジェットの方がきれいに印刷できると思います。インクジェットプリンタでは、インクの吹き付けの強弱は調整できないので、RGBだけのインクでは、8色しか表現できません。この問題を回避するために、複数のピクセル平均で強弱を表現したり、黒や中間色のインクを使っています。現在の写真の印刷のアルゴリズムは、解像度を犠牲にして濃淡を表現する傾向が強く、印刷では、もとの画像データに目で見るために必要な以上の解像度を要求しています。インターフェースが公開されていないため、この部分は、プリンターメーカ内のクローズドになっていますが、改善の余地があると思われます。