画像の明るさを変更するには(1)~露光と明るさ(1)(darktable3.0第83回)

 

今日から、3回は、darktable 3.0の新機能の解説が入り、その前に準備していた記事が、そのままになっていたので、完成させたものです。

本格的な3.0の記事は、86回から予定していますので、そちらをご覧ください。

 

フィルム時代の露光とは、ネガに記録する場合の、光量を調整することでした。これに対応するデジタルカメラの露光は、センサーがRAWファイルのデータを作成する際の光量ということになります。しかし、この定義の露光は、RAW現像ソフトウェアでは変更することはできません。ですから、RAW現像における露光は、撮影時の露光とは別ものであることを確認する必要があります。

RAW現像における露光に、RAW編集のどの機能を割り当てるかは、ソフトウェアの仕様設計の課題であって、正解があるわけではありません。露光以外の機能についても、RAW現像のソフトウェアはJpegなどの画像データの制約をうけますが、ハードの制約は受けないので、どの機能にどの名前を付けるのかという仕様の問題になります。RAW現像ソフトウェアは、市販のものや、フリーのものをあわせると、10種類以上ありますが、同じ名称の機能が、同じアルゴリズムを指しているという保証はありません。

とはいっても、最も基本的な編集機能である露光については、実体としてはソフトウェアの間の差はないようです。露出調整は、RGBの値に線形に色空間の共通因子を掛ける操作を指すようです。この場合の因子は、マトリックスの場合もあります。

 

一方、明るさの独自の定義はないと思います。 私の知る限り、Photoshop(およびgimp?)はrgb値に定数値を追加します。 これは通常、作業RGB色空間に適用され、結果は使用されるガンマエンコーディングに依存します。 線形rgb値に定数を追加すると、ガンマエンコードされたrgb値に追加された同じ定数と比較して、異なる結果が得られます。

ダークテーブルは、「明るさ」をLab Lチャンネルに適用されるガンマ補正として定義すると思います。 そのため、黒点と白点の両方が保持されます。

もっとも、新機能の紹介で述べましたようにRGBワークフローが中心になると、「露光」は最も画像を劣化させない安全な変換であるのに対して、明るさ(コントラスト、明るさ、彩度モジュール)は、RGBワークフローでは使ってはいけないものになります。

というわけで、RGBワークフローでは、露光と明るさを比べても仕方がないことになってしまうのですが、この記事はだいぶ前に途中まで作ったものなので、その点は脇に置いておきます。

実は、2020年になってからは、RGBワークフローに切り替えようかという思いが次第に、強くなってきています。でも、この話は、もう少し先にします。

 

さて、ここので比較検討は、

  • 「露光」モジュールの露光をあげて、明るさを下げる

  • コントラスト、明るさ、彩度」モジュールのの明るさを上げて、明るさをあげる

の2つの違いを試してみることです。

以下では、左が元の画像、右が修正画像になります。

 

サンプル1は「露光」を変えた場合です。

 

 

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サンプル1

 

サンプル2は「明るさ」を変えた場合です。

 

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サンプル2

 

確かに、「露光」より、「明るさ」の方が色の変化は小さくなっています。

 

サンプル3は「露光」を変えた場合です。

 

 

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サンプル3

 

サンプル4は「明るさ」を変えた場合です。

 

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サンプル4

 

 

サンプル5は「露光」を変えた場合です。

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サンプル5


 

 

サンプル6は「明るさ」を変えた場合です。

 

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サンプル6

 

 

サンプル5では、「明るさ」の方が屋根の周りが一段と明るくなっています。

サンプル7は「露光」を変えた場合です。

 

 

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サンプル7

サンプル8は「明るさ」を変えた場合です。

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サンプル8

 

まとめ

まとめると、「明るさ」は色の変化は少ないのですが、フィルタのせいで、部分的にむらができます。

また、全体に白っぽくなります。

 

 

なお、以下のページを参考にしました。

Exposure compensation vs. adjusting brightness

https://discuss.pixls.us/t/exposure-compensation-vs-adjusting-brightness/4613/10