ベーズカーブとトーンカーブはよく似ています。
カメラ付属の各メーカーのRAW現像ソフトには、トーンカーブはついていますが、ベースカーブがついているものは少ないようです。
RAW現像の手順
ここでRAW現像の手順を整理しておきます。
画像ファイルは、32bitの浮動小数点ファイルです。darktable内の編集は、この形式でおこないます。
画像ファイルは、RGB、XYZ、Labのいずれかの成分表示で編集します。
RAWファイル ー> 画像ファイル -> 画像ファイル -> RGB(CMYK変換)
ベースカーブ トーンカーブ 印刷
なお、ディスプレイは、RGB8bit空間なので、操作結果をディスプレイで確認する場合には、8bitへの桁落ちが常に起こっています。
ベースカーブも、トーンカーブも縦横軸に画像データが示され、カーブの関数に従って横軸の値が縦軸の値に変換される点は共通です。
縦軸に変換後は、人間の目で見やすい値になります。ここで、横軸がRAWデータ場合の変換曲線をベースカーブといいます。
センサーの光に対する反応が線形であるのに対して、人間の目の反応は対数的になるため、ベースカーブでは対数変換をしています。カーブの形は、メーカーとカメラによりことなるので、darktableでは、カメラ事のベースカーブを準備していて、読み込んだRAWファイルのEXIFデータから、カメラを判別して、カメラにあったベースカーブを自動的に読み込んでいます。ですから、普段は、ベースカーブを変更する必要はありません。意図的に、別のカメラのベースカーブを使いたければ、それもできるという自由度を保証しているモジュールと考えられます。
横軸がRAWから変換された画像データの場合の変換曲線をトーンカーブといいます。
RGBは8bitですと各々が0から255の値をとります。しかし、整数型のでータで、8bitから8bitへの変換を繰り返すと、桁落ちがおこり、トーンのスムーズさが失われる画像劣化がおこちます。
これをさけるため、darktableでは、色空間の成分を0から1の間の値に正規化した、32bitの浮動小数点を使っています。この問題は、darktableだけでなく、画像処理ソフトに共通の課題です。
8bitの制約を受けているソフトに、irfanview、Photoshop Element、古いバージョンのgimpがあります。これらのソフトでは、画像変換を繰り返すことはお勧めできません。なお、Photoshop Elementにはトーンカーブはついていないようです。irfanviewはプラグインで、トーンカーブが使えます。
カメラ付属のRAW現像ソフトは、いくら何でも8bit制約を受けていないとおもいますが、なぜか、トーンカーブは、RGB空間で、縦軸、横軸とも0から255にスケールが振ってあります。マニュアルにはテクニカルな記述が少ないので、細かな点はわかりませんが、不安にさせるスケーリングです。これは、ほぼ、どのメーカーでも同じでした。
ベースカーブの基本
サンプル画像は次です。
この画像のベースカーブは次です。ここでは横軸がRAWデータ、縦軸が画像データで、ともに、レンジが0から1に正規化されています。
表示スケールは対数をとることもできます。ただし、両対数です。
ベースカーブのモジュールの上から2番目のアイコンを選ぶと他のベースカーブに入れ替えることができます。
ベースカーブの応用
ベースカーブのモジュールには、フュージョンサブメニューがあります。
次のWEBでは、ベースカーブのモジュールのフュージョンサブメニーを使えば、HDR写真が作れるといいます。しかしながら、現在のdarktableは、バージョンアップにより、WEBと同じパラメータセットは出来なくなりました。
compressing dynamic range with exposure fusion posted on Tue 09 August 2016 by jo
https://www.darktable.org/2016/08/compressing-dynamic-range-with-exposure-fusion/
そこで、WEBに近い形の編集を試みます。
フュージョンサブメニューから、3回露光を選びます。
パラメータは、いじってみたのですが、一見するとわかるようなHDR風の画像にはならなかったので、ここでは、上記のプリセットを使いました。
処理後の画像は次です。
元の画像に比べ、影がうすくなり、若干HDR風にも感じられます。
darktableの開発チームは、HDRにダイナミックレンジの拡大よりも、細部トーンの再現を求めているので、これでHDR風といってよいのかもしれません。