ベースカーブ(darktable第24回)

ベーズカーブとトーンカーブはよく似ています。

カメラ付属の各メーカーのRAW現像ソフトには、トーンカーブはついていますが、ベースカーブがついているものは少ないようです。

RAW現像の手順

ここでRAW現像の手順を整理しておきます。

画像ファイルは、32bitの浮動小数点ファイルです。darktable内の編集は、この形式でおこないます。

画像ファイルは、RGB、XYZ、Labのいずれかの成分表示で編集します。

 

RAWファイル ー> 画像ファイル -> 画像ファイル -> RGB(CMYK変換)

       ベースカーブ   トーンカーブ      印刷

 

なお、ディスプレイは、RGB8bit空間なので、操作結果をディスプレイで確認する場合には、8bitへの桁落ちが常に起こっています。

ベースカーブも、トーンカーブも縦横軸に画像データが示され、カーブの関数に従って横軸の値が縦軸の値に変換される点は共通です。

縦軸に変換後は、人間の目で見やすい値になります。ここで、横軸がRAWデータ場合の変換曲線をベースカーブといいます。

センサーの光に対する反応が線形であるのに対して、人間の目の反応は対数的になるため、ベースカーブでは対数変換をしています。カーブの形は、メーカーとカメラによりことなるので、darktableでは、カメラ事のベースカーブを準備していて、読み込んだRAWファイルのEXIFデータから、カメラを判別して、カメラにあったベースカーブを自動的に読み込んでいます。ですから、普段は、ベースカーブを変更する必要はありません。意図的に、別のカメラのベースカーブを使いたければ、それもできるという自由度を保証しているモジュールと考えられます。

横軸がRAWから変換された画像データの場合の変換曲線をトーンカーブといいます。

 

トーンカーブをRGBの成分で分離表示するソフトが多いですが、この方法は、色と明るさが同時に変化してしまい、人間の目の感覚に対応していないため、古典的な方法ではありますが、darktableは推奨していません。darktableはLab空間を使うことを推奨しています。

RGBは8bitですと各々が0から255の値をとります。しかし、整数型のでータで、8bitから8bitへの変換を繰り返すと、桁落ちがおこり、トーンのスムーズさが失われる画像劣化がおこちます。

これをさけるため、darktableでは、色空間の成分を0から1の間の値に正規化した、32bitの浮動小数点を使っています。この問題は、darktableだけでなく、画像処理ソフトに共通の課題です。

8bitの制約を受けているソフトに、irfanviewPhotoshop Element、古いバージョンのgimpがあります。これらのソフトでは、画像変換を繰り返すことはお勧めできません。なお、Photoshop Elementにはトーンカーブはついていないようです。irfanviewプラグインで、トーンカーブが使えます。

カメラ付属のRAW現像ソフトは、いくら何でも8bit制約を受けていないとおもいますが、なぜか、トーンカーブは、RGB空間で、縦軸、横軸とも0から255にスケールが振ってあります。マニュアルにはテクニカルな記述が少ないので、細かな点はわかりませんが、不安にさせるスケーリングです。これは、ほぼ、どのメーカーでも同じでした。

ベースカーブの基本

サンプル画像は次です。

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サンプル画像

 この画像のベースカーブは次です。ここでは横軸がRAWデータ、縦軸が画像データで、ともに、レンジが0から1に正規化されています。

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サンプル画像のベースカーブ(線形)

表示スケールは対数をとることもできます。ただし、両対数です。

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サンプル画像のベースカーブ(対数)

 

ベースカーブのモジュールの上から2番目のアイコンを選ぶと他のベースカーブに入れ替えることができます。

 

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ベースカーブの入れ替え

 

ベースカーブの応用

ベースカーブのモジュールには、フュージョンサブメニューがあります。

次のWEBでは、ベースカーブのモジュールのフュージョンサブメニーを使えば、HDR写真が作れるといいます。しかしながら、現在のdarktableは、バージョンアップにより、WEBと同じパラメータセットは出来なくなりました。

 

compressing dynamic range with exposure fusion posted on Tue 09 August 2016 by jo

https://www.darktable.org/2016/08/compressing-dynamic-range-with-exposure-fusion/

そこで、WEBに近い形の編集を試みます。

フュージョンサブメニューから、3回露光を選びます。

 

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サブメニューの選択

パラメータは、いじってみたのですが、一見するとわかるようなHDR風の画像にはならなかったので、ここでは、上記のプリセットを使いました。

処理後の画像は次です。

 

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処理結果

元の画像に比べ、影がうすくなり、若干HDR風にも感じられます。

darktableの開発チームは、HDRにダイナミックレンジの拡大よりも、細部トーンの再現を求めているので、これでHDR風といってよいのかもしれません。