風景写真を極めようとすれば、アンセル・アダムスとゾーンシステムについてふれないわけにはいかないと思います。
しかしながら、簡単にわかる特効薬はないので、ある程度の重複を認めながら、すこしずつ、説明することにします。
なお、アンセル・アダムスの写真は、以下で、公開されていて、ファイルで見ることができます。
https://www.archives.gov/research/ansel-adams
素材の変化
アンセル・アダムスは、1枚1枚のネガを印画紙に焼き付ける方法で、モノクロームの風景写真を作りました。
フィルム時代でも、モノクロームか、カラーか、ネガを使うか、リバーサルか、ロールを使うか、1枚ずつのシートを使うかの違いがあり、これらの素材にゾーンシステムを修正しています。
デジタル時代では、普通のデジカメはカラーフィルターのついていないセンサーは積んでいませんので、フィルム時代とは、モノクロームの意味が異なっています。
これらの組み合わせをすべて考えると気か遠くなります。ですので、アダムスのオリジナルと、デジタルへの適用の2つに絞ることがゾーンシステムの理解の戦略としてはよいと思われます。
モノクロームとカラー
デジタルカメラで、モノクロームの写真を撮っている、あるいは、画面や、紙に出している人は、少数派だと思われます。ですが、カラーには、再現の問題が大きくあります。ディスプレイ、プリンタ、用紙、ライトにより、見え方が異なります。あなたが見ている写真と別の人が見ている写真は、WEBでは少しずつ異なっている可能性が高いのです。カラーコントロールをできる高級機材もありますが、使っている人は少数です。
写真は印刷するものではなく、スマホで見るものになりました。これによって、写真のあり方が大きく変化しました。
モノクロームでは、この機材による見え方の違いの問題が軽減されます。もちろん、モノクロームでも機材による違いの問題を回避できるわけではないのですが、それでも、カラーほどはぶれないと思います。
既に見てきたように、darktableのモノクロームモジュールでは、あるピクセルの周囲ピクセルのRGBを平均して、モノクロームを作っていました。さらに、チャンネルミキサー・モジュールを使うとモノクローム・フィルムをシミュレートすることができます。デジタルカメラでは、RGBのブレンドの塩梅で、モノクロームらしい色をつくっているからです。今回は、チャンネルミキサーを使ってみます。
チャンネルミキサー
次がサンプル画像です。
チャンネルミキサーを起動して、マニュアルにのっているagfapan 100のパラメータセットします。
次が、変換後の画像です。
今度は、パラメータをKodak T-max 100に変えてみます。パラメータの値は次です。
処理結果は次です。
微妙に雰囲気が変わりました。
カラーグループのモジュールは変更の自由度が高いので、何を目指して、編集するかを事前に明確にする必要があります。