チャンネルミキサー(darktable第20回)

風景写真を極めようとすれば、アンセル・アダムスとゾーンシステムについてふれないわけにはいかないと思います。

ところが、なぜか、日本語の文献は極めて少ないのです。ゾーン・システムは、複雑なこと、モノクロの印画写真であることなどが、障壁になっています。また、不正確な解説が流布していて、これに、さらに混乱を深めています。

しかしながら、簡単にわかる特効薬はないので、ある程度の重複を認めながら、すこしずつ、説明することにします。

なお、アンセル・アダムスの写真は、以下で、公開されていて、ファイルで見ることができます。

https://www.archives.gov/research/ansel-adams

素材の変化

アンセル・アダムスは、1枚1枚のネガを印画紙に焼き付ける方法で、モノクロームの風景写真を作りました。

フィルム時代でも、モノクロームか、カラーか、ネガを使うか、リバーサルか、ロールを使うか、1枚ずつのシートを使うかの違いがあり、これらの素材にゾーンシステムを修正しています。

デジタル時代では、普通のデジカメはカラーフィルターのついていないセンサーは積んでいませんので、フィルム時代とは、モノクロームの意味が異なっています。

これらの組み合わせをすべて考えると気か遠くなります。ですので、アダムスのオリジナルと、デジタルへの適用の2つに絞ることがゾーンシステムの理解の戦略としてはよいと思われます。

モノクロームとカラー

デジタルカメラで、モノクロームの写真を撮っている、あるいは、画面や、紙に出している人は、少数派だと思われます。ですが、カラーには、再現の問題が大きくあります。ディスプレイ、プリンタ、用紙、ライトにより、見え方が異なります。あなたが見ている写真と別の人が見ている写真は、WEBでは少しずつ異なっている可能性が高いのです。カラーコントロールをできる高級機材もありますが、使っている人は少数です。

写真は印刷するものではなく、スマホで見るものになりました。これによって、写真のあり方が大きく変化しました。

モノクロームでは、この機材による見え方の違いの問題が軽減されます。もちろん、モノクロームでも機材による違いの問題を回避できるわけではないのですが、それでも、カラーほどはぶれないと思います。

既に見てきたように、darktableのモノクロームモジュールでは、あるピクセルの周囲ピクセルのRGBを平均して、モノクロームを作っていました。さらに、チャンネルミキサー・モジュールを使うとモノクローム・フィルムをシミュレートすることができます。デジタルカメラでは、RGBのブレンドの塩梅で、モノクロームらしい色をつくっているからです。今回は、チャンネルミキサーを使ってみます。

チャンネルミキサー

 

次がサンプル画像です。

 

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サンプル画像


 

 

チャンネルミキサーを起動して、マニュアルにのっているagfapan 100のパラメータセットします。

 

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agfapan100のパラメータ


 

次が、変換後の画像です。

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agfapan100処理結果


 

今度は、パラメータをKodak T-max 100に変えてみます。パラメータの値は次です。

 

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Kodak T-max100のパラメータ

処理結果は次です。

 

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Kodak T-max100の処理結果

 

微妙に雰囲気が変わりました。

カラーグループのモジュールは変更の自由度が高いので、何を目指して、編集するかを事前に明確にする必要があります。