ポスト物理学の因果モデル(1)

はじめに

このブログの連載では、データサイエンスの立場でモノを考えることを基本にしています。その場合、「科学とは何か、非科学(信頼できないもの)は何か」が問題になります。これは、最近のブログで扱っているテーマで言えば、「「事実」とは何か、「真実」とは何か」というテーマや、「「真実」とは何か、「ポスト真実」とは何か」というテーマに関連します。(注1)

スーパーコンピュータ富岳で計算したものは、「事実」であるという趣旨の発言をされている方もいますが、あまりに、サイエンスのリテラシーを疑われるような発言は控えるべきと思います。

さて、科学とは何かを論ずる学問は「科学哲学」になります。科学とは何かを理解するには、「科学哲学」の本を読んで理解するのも一つの方法ではありますが、読まない方法もあると考えています。というのは、科学哲学の最初は、物理学に関する検討から始まり、物理学の成功を見て、なぜ、物理学が成功をおさめて、他の科学があまり成功しないのかという疑問にこたえる形で、理論を構築しているからです。

哲学という学問は、「なんでもいいから、ひたすら考えればなんとかなるさ」が基本姿勢です。そうはいっても、素材なしには、ものを考えることはできません。文字の書ける人が少なく、更に、論理的にものごとを考える人が少なかった時代には、この基本姿勢でよかったと思われますが、19世紀に、この方針にいきづまりが生じます。一つは、考えるテーマは何でもよいのではなく、トラウマになりうるような強烈な体験をしてしまうと、頭の中にあるイメージが固定化してしまい、「なんでもいい」とは言えないと考えます。これが、実存主義です。逆は、なんでもいいのではなく、ネタの素材が豊富な方がまともな論理展開ができると考える方法です。このネタに物理学を使ったのが、初期の科学哲学です。一見すると、「なんでもいいから」という条件を取り去ったので、汎用性を失ったようにも思われますが、科学には多量の観測データがありますから、「目の前にあるリンゴ」を問題にするよりはまともな議論ができます。

哲学の本にはよく、「目の前にあるリンゴ」とか、「目の前にある机」が出てきて、そうした例はサンプルであって、その例で、一般的な検討ができることを暗黙の了解にしていますが、これは、明らかに間違っています。(注2)科学の観測データは、再現性の検証がなされていますので、この不都合を避けることができます。科学哲学の素材に、生物学やデータサイエンスを採用したらどうなるかが、ここでの検討対象になります。なお、最近の科学哲学は、専門科学毎に分けて考えることが主流になりつつあります。たとえば、生物学の科学哲学といった具合です。しかし、ここで論じたいのは、生物学の科学哲学ではなくて、専門科学を越えた因果律の問題です。

さて、前世紀には、物理学の因果モデルの影響は非常に大きく、例えば、ワインバークは、物理学は一流の学問だが、生物学などの他の科学は二流だといいます。これは、世界は物理法則のように決定論で記載できるはずだという信念です。しかし、我々は、ノーベル物理学受賞者であるワインバーグ先生のいっていることは間違っていることを知っています。生物学の法則の一部はDNAで書かれています。このDNAの設計図をコピーし、設計コードを使って物質を作るときに、エラーが発生ます。しかも、これがたまたま起きたエラーで済む問題ではなく、がんなどの病気の原因になることを知っています。つまり、生物学の法則は、物理学のように決定論では書けませんが、それは、二流であるとか、レベルが低いとかいう問題ではないのです。

 

 

 

注1:

「事実」と「真実」は使いやすい用語ですが、ポスト真実を入れると次の対比になります。

1:「事実」<=>「真実」

2:「真実」<=>「ポスト真実

つまり、単純には、1:「事実」=2:「真実」、1:「真実」=2:「ポスト真実」という対比が出来てしまいます。

しかも、ポスト真実という場合には、例えば、トランプ大統領は、「ポスト真実」の前のオバマ大統領の発言は、「真実」であって、暗に、”「ポスト真実」≠事実、「真実」≒事実”とかんがえているフシがあります。しかし、グレン・カールさんはあくまで、「真実」≠事実という前提でモノを考えています。なお、グレン・カールさんの元の英文をチェックしたかったのですが、グレン・カール(GLENN CARLE )さんは、Newsweek Japanのコラムニストで、英文は公開されていないようです。

 

注2:

ここでは、言葉の限界があること、ルール(アルゴリズム)とデータはセットでしか意味がないことがその原因です。

 

https://www.amazon.co.jp/%25E3%2582%25B9%25E3%2583%2586%25E3%2582%25A3%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25B4%25E3%2583%25B3%25E3%2583%25BB%25E3%2583%25AF%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2590%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25B0/e/B077ZS3GF3?ref=sr_ntt_srch_lnk_3&qid=1606346928&sr=1-3

 

カラーバランスで紅葉の編集(8)

機材の比較(キャノン編)

こうして並べてみると、キャノンでは標準のキットレンズを全く使っていないことに気が付きました。前回のオリンパスを含めても、使っている標準レンズは、12-40mm F2.8 proだけです。このレンズは、キットレンズにもなっていますが、3グレードの一番上のproレンズで、よく写ります。EF-Mのキットレンズも初代の18-55mmから、現在の15-45mmに交代して、かなり改善していると思います。ただ、12-40mm F2.8 proとでは、勝負になりません。なので、キャノンは、広角ズームか単焦点しか使っていません。

写真1から写真4にキャプションを付けています。

カメラは、写真1と2がEosM3、写真3と4がEos Kiss Mですが、Kiss Mの方が、ダイナミックレンジが広く、中間トーンが多く保存されています。

写真2のレンズは、広角ズームなので、主に風景写真で使われることを念頭において設定されていると思います。風景写真用のレンズ、天候は晴れ、絞りはF8.0ですから、ほぼ、完璧な条件です。写真の期待にこたえて、ほぼ満点に近いと思われますが、並べて、好きかといわれれば、話は別です。

写真4はこの中では、一番良いレンズと思われますが、やはり表現力は4枚の中では、抜きんでています。

前回のオリンパスと比べると、キャノンの写真は硬い感じがします。筆者はキャノンのフルサイズカメラは持っていませんが、コピーライトフリーのRAWサンプルのキャノンの5D mk IVの画像を見ても同じ感じを受けますので、これは、絵作りのコンセプトの違いと思います。

機材の一覧は以下です。()が撮影条件で、焦点距離が、フルサイズ相当です。

キャノンEOSM3 22mm F2.0(ISO100、1/800sec、35mm、F5.0)

キャノンEOSM3 11-22mm F4.0-5.6(ISO100、1/250sec、18mm、F8.0)

キャノンEOSKissM 22mm F2.0(ISO100、1/320sec、35mm、F6.3)

キャノンEosKissM 32mm F1.4(ISO100、1/320sec、50mm、F5.6)

追記:FE-Mの標準ズームレンズでも写真を撮ってみましたので、次回に紹介します。

 

 

 

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写真1 キャノンEOSM3 22mm F2.0(ISO100、1/800sec、35mm、F5.0)

 

 

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写真2 キャノンEOSM3 11-22mm F4.0-5.6(ISO100、1/250sec、18mm、F8.0)

 

 

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写真3 キャノンEOSKissM 22mm F2.0(ISO100、1/320sec、35mm、F6.3)

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写真4 キャノンEosKissM 32mm F1.4(ISO100、1/320sec、50mm、F5.6)

 

極上の焼き芋の焼き方(44)

3時間140-90-140度法+キャセロール

140度3時間のキャセロールで、かなり良い羊羹焼き芋ができることがわかりました。ただし、140度にどのような意味があるのか、今一つはっきりしません。反応温度が80度であれば、いったん、温まれば、より低い温度でも可能なはずです。

そこで、3時間キャセロール法で、設定温度を140度60分ー>90度60分ー>140度60分と60分毎に変えてみました。

使用した紅はるかは、いつものAさんの紅はるか(これは、いつもスーパーでは入手できなく、JAの直売店で1袋だけ売っているものを見つけて入手)と紅天使(ポテトかいつかのブランドの紅はるか)です。

なお、実験で失敗した焼き芋も捨てないで、加工して食べています。失敗を考えると、サイズの大きな芋はリスクも大きくなるので、この後の実験では、Sサイズのサツマイモを主に使うように切り替えました。いままで、紅天使を使っていなかったのは、焼き芋として販売している紅天使に比べて、生芋で販売している紅天使のサイズが小さかったことが理由の一つですが、条件を色々と変える上では、サイズの小さいSはメリットにもなります。

さて、写真1が焼き上がった紅はるかです。2つとも蜜が出ていますが、特に紅天使は蜜がべっとりついています。

写真2が、焼き芋の断面です。どちらも、透明になっていて、水準に達しています。

食味は、共に羊羹焼き芋として、合格と言えます。ただし、わざわざ、途中で、温度を下げるメリットはないと思われました。

 

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写真1 焼きあがった紅はるか(上:Aさん、下:紅天使)

 

 

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写真2 焼きあがった紅はるかの断面(左:Aさん、右:紅天使)

 

洞峰公園の秋~つくば市とその周辺の風景写真案内(239)

洞峰公園の秋

洞峰公園に、イチョウの木は多くないのですが、西大通りから、学園都市記念館に向かうメインストリートにイチョウの木が並んでいるということで、学園都市を代表するイチョウ並木と言えます。このため、多くの人の印象に残っていると思われ、日曜日の午後の写真1では、イチョウ並木の写真を撮影に、大勢の人が出ています。今年は、洞峰公園イチョウは、緑が残ってまだら模様になりました。写真1の写真には写っていない手前のイチョウが、一番、緑が残っていたので、その部分は避けて撮影しています。

写真2は、グランドの周辺で、きれいな黄色になっています。

写真3は洞峰沼の周辺です。ここらは、紅葉のオレンジと沼の水色のコントラストがきれいです。

 

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写真1 洞峰公園の秋(学園都市記念館前のイチョウ並木、正面が学園都市記念館)

 

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写真2 洞峰公園の秋

 

 

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写真3 洞峰公園の秋

 

春日学園~つくば市とその周辺の風景写真案内(238)

春日学園

春日学園は、正式名は「つくば市立春日学園義務教育学校」といいます。

Wikiによれば次の特徴があります。


つくば市立春日学園義務教育学校(つくばしりつかすががくえんぎむきょういくがっこう)は、茨城県つくば市春日二丁目にある、公立の義務教育学校。2016年(平成28年)3月31日まで法令上は春日小学校と春日中学校の名称で別組織となっていたが、開校当初より施設が小学校と中学校で完全に一体化しており、学校教育上も「春日学園」として1つの学校として運営されていた。(中略) つくば市では市内全域で小中一貫教育を実施しており、義務教育学校となる2016年(平成28年)4月までは、つくば市唯一の施設一体型の小中一貫校であった。


2020年現在、施設一体型の義務教育学校は、この春日学園の他に、秀峰筑波義務教育学校、学園の森義務教育学校、みどりの学園義務教育学校の3校がありますが、共に、2018年開校で、春日学園は2012年開校ですから、先行しています。つまり、つくば市内では、最初の施設一体型の小中一貫教育を行う学校になります。

2018年開校の3校は設計提案がコンペされていますので、恐らく、春日学園もコンペで設計者を決めていると思われます。

設計は、若栁建築事務所です。HPから設計意図を引用します。


つくば市初の小中一貫校として、地域の特色を活かした学園の実現を目指し、(1) 研究学園都市との連携も可能な教育環境、(2) 環境共生を体験しながら学べるエコスクール、(3) 沿線のまちづくりを先導する地域交流拠点をテーマとしました。 質の高い学習環境を創出するため、小中の特別教室を複合した教科メディアスペースを全学の交流空間となるスクールアベニューの中心に設置しています。 エコスクールとして建物の分棟化による日照・通風確保、太陽熱温水器太陽光発電、雨水利用、地中熱利用(クール&ヒートチューブ)、燃料電池などを積極的に採用し、その効果を計測し発信できるようにしています。

●「第26回茨城県建築文化賞 土木部長賞」受賞


 

ガラスを多用した非常に明るい感じの建物に仕上がっている点に好感が持てます。

 

 

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写真1 春日学園

 

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写真2 春日学園

 

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写真3 春日学園

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%B0%E5%B8%82%E7%AB%8B%E6%98%A5%E6%97%A5%E5%AD%A6%E5%9C%92%E7%BE%A9%E5%8B%99%E6%95%99%E8%82%B2%E5%AD%A6%E6%A0%A1

 

http://wakayanagi.co.jp/works-a08.html

 

カラーバランスで紅葉の編集(7)

機材の比較(オリンパス編)

紅葉の編集は、乙戸沼公園の風景を使っています。

毎回、持ち込み機材は1種類なので、日によって、天候も異なりますし、落ち葉も段々と増えてしまいますし、画角も、絞りも、センサーの解像度も違います。写真雑誌などでは、条件をそろえて比較していますが、この方法では2から3種類の機材の比較が限界です。

しかしながら、こうして、写真を並べてみると、機材の個性は、画角や絞りや天候や落ち葉の違いを越えたところにも確かにあるように思われました。カメラマンが対象に合わせて機材を選ぶ時の判断基準は、恐らく、このレベルのアバウトなところにあると思われます。なので、条件がそろっていなくとも、機材の異なる写真を並べてみるのも、参考になると考えるようになりました。そこで、カラーバランスで紅葉の編集シリーズの終わりに、機材の比較写真をのせて見ます。枚数が増えたので、オリンパス編とキャノン編にわけて、載せることにします。

機材は以下の順番です。()が撮影時のデータです。()の焦点距離はフルサイズ換算です。

写真はRAWデータに露光補正とレンズ補正だけをかけています。これは、レンズの違いをつぶさないためです。写真1だけがカメラが違います。また、写真3は曇りの日だったので、色乗りが悪くなっています。固定焦点の高級レンズは入っていませんので、どれかが圧倒的ということはありませんが、見ていると、レンズの個性がわかると思います。

 

オリンパス EM1mkII 12-40mm F2.8 pro(ISO200、1/320sec、38mm、F8.0)

オリンパス PL6 オリンパス25mm F1.8(ISO200、1/640sec、50mm、F5.0)

オリンパス PL6 パナソニック25mm F1.4(ISO200、1/400sec、50mm、F3.5)

オリンパス PL6 パナソニック15mm F1.7(ISO200、1/4000sec、30mm、F2.0)

 

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写真1 オリンパス EM1mkII 12-40mm F2.8 pro(ISO200、1/320sec、38mm、F8.0)

 

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写真2 オリンパス PL6 オリンパス25mm F1.8(ISO200、1/640sec、50mm、F5.0)

 

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写真3 オリンパス PL6 パナソニック25mm F1.4(ISO200、1/400sec、50mm、F3.5)

 

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写真4 オリンパス PL6 パナソニック15mm F1.7(ISO200、1/4000sec、30mm、F2.0)

 

極上の焼き芋の焼き方(43)

3時間140度法+キャセロール

前回は、アルミホイルの袋を使う方法でしたが、今回はキャセロールを使う方法です。

さつまいもを洗って、破裂しないように、フォークで穴をあけます。

これをキャセロールに入れて、オーブンで温めます。

キャセロール法の難点は、サツマイモが大きくなると、キャセロールに収まらなくなることです。

なお、今回は、紅はるかとシルクスイートを使っています。

加熱は140度で3時間です。

写真1はキャセロールで焼いた焼き芋の状態です。なお、オーブンに入れるときには、蓋をしています。

写真2は焼きあがったシルクスイートの焼き芋です。蜜が少し出ています。

写真3は焼きあがった紅はるかの焼き芋です。蜜が多量に出ています。

写真4は焼きあがったシルクスイートの焼き芋の断面です。かなりねっとり系に焼けています。

写真5は焼きあがった紅はるかの焼き芋の断面です。ほとんどジャムのような状態です。

前回の紅はるか(アルミホイル袋)も含めて、食味を評価すると

紅はるか(キャセロール)>紅はるか(アルミホイル袋)>>シルクスイート(キャセロール)

の順になります。今回の紅はるかのレベルの焼き芋ができれば、ほぼ、満足すべき水準と思われました。

 

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写真1 キャセロールでできた焼き芋(左:シルクスイート、右:紅はるか(紅天使))

 

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写真2 シルクスイートの焼き芋

 

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写真3 紅はるかの焼き芋

 

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写真4 シルクスイートの焼き芋の断面

 

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写真5 紅はるかの焼き芋の断面